「共に戦略を磨く、対等な仲間が欲しかった。」エムスリーとMIMIGURIがワンチームで築いた、サグラダファミリアのキービジュアルとは。

  • 根本紘利

    プロジェクトマネージャー

  • ECコンサルティング業デザイナー→アパレル小売業Webマスター→在京民放テレビ局番組Webサイト制作・運用→地域商社プロジェクトマネージャー→Slerプロデューサーを経てMIMIGURI(旧DONGURI)に入社。 クライアントワークの開発プロジェクトにおける設計や進行に加え、組織開発・推進のプロジェクトに従事し、自社ではプロジェクトマネジメントの体系化と組織浸透を目指し、全社プロジェクト品質の底上げやアジャイル推進を進めている。

<プロフィール(敬称略)>
山崎 聡
執行役員 デザインG担当 / VPoE / PdM
大学院博士中退後、ベンチャー企業、フリーランスを経て、2006年、臨床研究を手がけるメビックスに入社。2009年、メビックスのエムスリーグループ入り以降、エムスリーグループ内で主にプロダクトマネジメントを担当する。2018年からエムスリーの執行役員。2020年4月からはエンジニアリンググループに加えて、ネイティブアプリ企画部門のマルチデバイスプラットフォームグループと全プロダクトのデザインを推進するデザイングループも統括。2020年10月より初代CDOに就任。

古結 隆介
CDO(Chief Design Officer) / 最高デザイン責任者
大阪芸術大学映像学科卒業。事業会社など複数社経験した後に、株式会社ビズリーチにて、コミュニケーションデザイン室やデザイン組織の人事をメインとしたデザイナーサクセスにてチームマネジメントを担当。2020年4月より医療従事者向けサービスを運営するエムスリー株式会社にて、グループリーダー/プロダクトデザイナーとしてデザイン組織戦略の立案/実行や新規事業/プロダクト開発におけるプロダクトデザインに従事。2021年4月より2代目CDOに就任。

「デザイン経営は、いかにして実践できるのか?」

デザイン組織の実践者にこう問いかけたとしたら、その答えはおそらく十人十色でしょう。なぜならば、人がそれぞれ異なる個性を有していることと同様に、組織の個性やあり方が多様であるからです。しかしそれは逆説的に、いかなる組織も道なき道を歩まざるを得ないことと同義でもあります。

2020年4月、医療×ITの巨大ベンチャーとして知られるエムスリー株式会社は、デザイン経営の実践に向けた大きな一歩を踏み出しました。

組織を抜本的に変革するにあたっては、多くの困難が付き纏います。ところが、エムスリーは組織をたった1年という短い期間でターンオーバーさせることに成功。デザイン組織のみならず、エムスリー全体のカルチャーに大きな変化が訪れたと言います。

デザイン組織の変革に向け、2020年4月、エムスリー デザイングループの役員に山崎 聡氏が就任し、同月に古結隆介氏が再入社。デザイン組織変革を目的とする複数の施策に着手し、そのうち採用戦略の主軸となるコーポレートサイトのリニューアルとデザイナー採用サイトの立ち上げについて、MIMIGURIがパートナーとして伴走しました。

とはいえ、その道のりは決して平坦ではありませんでした。MIMIGURIとのプロジェクトが始まった2020年5月頃は、新型コロナウイルスの流行により全世界に激動の変化が訪れ、医療業界にも大きな影響が及ぼされた時期でもありました。エムスリーが運営する医師と医療従事者向けに医療情報を提供する専門サイト「m3.com」は、COVID-19関連の情報を求めるユーザーのアクセスが増大。エムスリーは医療現場の情報インフラの役割を担うと同時に、オンライン診療や遠隔診療などのニューノーマルな医療形態を支援する事業をスピーディーに展開し、その時価総額は2020年の間に約3兆円から約6兆円へと急激な上昇を見せました。

エムスリーは、はたしてどのようにデザイン組織変革を成功させたのか。道なき道を切り拓いたその歩みを、エムスリーの山崎 聡氏と古結隆介氏(こげつ りゅうすけ、以下こげつ)、共に伴走したMIMIGURIの根本紘利の3名に聞きました。


1年で1.5倍に急成長。エムスリーのデザイン組織変革はどのように走り出したのか

エムスリーのデザイン組織変革の歩みは、よりプロダクト志向な組織を作っていくことを目的として、2020年4月にデザイングループの役員に山崎さんが就任され、同月にこげつさんが再入社されたことに始まっています。組織変革に舵を切った背景には、どんな課題があったのでしょうか。

こげつ以前にミナベさん(MIMIGURI 代表取締役 Co-CEO)との対談でも少しお話ししたのですが、エムスリーは医療×ITの分野で実績を上げてきたことから医療業界やBtoB業界ではよく知っていただいているものの、一般的な知名度はほぼ無いに等しく「知る人ぞ知る」という状態でした。特にデザイン業界での認知度が低く、デザイナーの採用に課題があったんです。知らない企業にエントリーしようとは、なかなか思えないですからね。


山崎実は、エムスリーのエンジニアグループにも3年前まで同様の課題がありました。当時は私がVPoE(Vice President of Engineering)に就任し、エンジニア組織づくりを推進することで、エンジニア業界での認知度が向上したんです。デザイン組織づくりは、その実績を活かして始めたプロジェクトでもあります。

ミナベさんとの対談でお話しされていたように、こげつさんはエムスリーに入社されてから一度退職されて、2020年4月、デザイン組織変革のために戻ってこられた経緯があったかと思います。2021年4月で1年が経過したところですが、現時点での組織変革の成果について教えてください。

こげつ実は、直近3年間はデザイナーの採用がほとんどゼロの状態でした。ですが、この1年間だけでデザイナーの人数が9名から14名に増え、デザイン組織の規模は1.5倍に成長しています。

組織変革として、とても目覚ましい成果だと思います。デザイン組織への変革にあたって、パートナー企業はどのように選ばれたのでしょうか。

こげつ経緯をお話しすると、実は「自社だけで完結させる」ことも考えていたんです。自分たちだけで行うか、あるいはパートナー企業とともに組むか。パートナー企業としては、MIMIGURI以外にも複数社を検討していました。

山崎エムスリーは内製を好む文化で、これまでも様々なプロジェクトを自分たちで完結させてきた実績と自負があります。スピードを重視する社風でもあるため、並のパートナーへ依頼するよりは「問題を正しく認識している社内の人間でやってしまった方が早い」ケースが多々あるんです。加えて、コンサルティングもほとんど依頼していません。もし外部に協力を求めるなら、私達のスタイルを理解し、肩を組んで共に歩んでくれるパートナーを必要としていた背景がありました。

最終的に、MIMIGURIを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

山崎「エムスリーへのリスペクトを感じたこと」と、「私達のスタイルを理解し、伴走してくれるであろうイメージが湧いたこと」の2つが大きな理由ですね。MIMIGURIを知ったきっかけはこげつからの推薦でしたが、ミナベさんと面談した際に、豊富な組織デザインのナレッジと実績をお持ちであることに驚いたんです。「この人なら信頼できる」と感じましたし、エムスリーのスタンスや考え方を理解し、尊重した上で伴走してくれるであろうという期待が持てたんです。

「エムスリーは単なるコンサルティングは受けない。共に戦略を磨いていく対等な仲間となってほしい」

根本「伴走する」というスタンスは、MIMIGURIでも大事にしていました。これは僕個人としても、プロジェクトマネージャーを担う上で普段から大事にしていることなんです。

MIMIGURIの強みはアカデミックの知見や数多くのプロジェクトで培ってきたナレッジ、ハイクオリティなクリエイティブであると自負しています。それらの実践にあたり「こうすればプロジェクトの成功確率が高まる」というある程度の“成功の枠組み”のようなものも存在しますが、クライアントの課題をそのままその枠組みに当てはめて解決しようとするわけではありません。クライアント自身の普段の業務スタンスや得意なスタイルに柔軟にアジャストして、MIMIGURIのナレッジをONすることで、課題解決だけではない相乗効果を出し、パフォーマンスを最大化することを目的としています。


最初にエムスリーと戦略や施策の方針を対話したときに、やはりベンチャーのなかでも意思決定のスピードの早さと、プロダクトファーストな思考が強く印象に残ったんですね。そこから、その両方のカルチャーを保つチームビルディングを目指していきました。


山崎その道で実績豊富なMIMIGURIの皆さんには大変失礼な話なのですが、最初に「エムスリーは単なるコンサルティングを受けない」という話もしていましたよね。戦略を教えて欲しいのではなく、私達の考える戦略を共に磨いていってほしいと依頼したのを覚えています。


根本そうでしたね。そのお話を踏まえても、やはり伴走する「ワンチーム」のスタンスで進められるようにプロジェクトを設計しました。エムスリーの意思決定のプロセスや勘所を事前にすり合わせておいて、そのプロセスに沿ってスムーズに意思決定が行われるよう、逆算的なアプローチで確認事項などの情報を渡すようにしていました。

エムスリーは意思決定スピードを早くするため、組織構造も3〜4階層と最小限にしていますよね。組織文化に合わせたアジャストを行うことは、プロジェクト成功の肝であったのだろうと思います。

山崎一般的なプロジェクトですと、役員が意思決定に関わる場は“中間チェックポイント”のような意味合いで、月1回程度の頻度で設けられることが多いように思います。でも今回のMIMIGURIとのプロジェクトでは、役員である私自身とも週次でチェックポイントを設けてもらえたのがとても助かりました。例えば何か確認事項があったときに、その週のうちに代表の谷村にOKをもらって、翌日にもうGOを出す、という動き方も実現できました。結果的に、代表から承認をもらうタイムラグが3日程度で済んでいたと思います。

組織変革という大きなプロジェクトで意思決定のタイムラグが3日程度というのは、ちょっと驚異的なスピードに思えますね。

山崎これは、MIMIGURIがエムスリーの意思決定スピードに合わせてくれたからこそ実現できたことだと思います。コンサル関係でもダメで、外注関係でもダメ。上下のある関係性ではなく肩を組んだワンチームで、お互いをリスペクトして尊重しあう関係性が良いバランスだったと思います。

根本プロジェクトをご一緒する中で驚いたのは、エムスリーの皆さんがスピードだけでなく目的意識を常に高く持たれていることでした。プロダクト開発やコンサルティングを生業とされているので、今回のプロジェクトでも「目的は何か」という視点が常にブレることがなく、高い水準でスムーズに進行できたと感じています。

あと、エムスリーの方って、いつもすごく楽しそうですよね。会社や事業のことが本当に好きなんだなという気持ちが伝わってきたので、それを少しでも多く外部の方にも知っていただきたいなという思いでプロジェクトに向かっていました。本当に、リスペクトが尽きません。

初期設計の目的とプロセスは、やがて鮮度が失われる。常に目線を変化させ、最善のアジャストを目指す。

互いをリスペクトしあう「ワンチーム」が、このプロジェクトの重要なキーワードだったんですね。先ほど、根本さんはプロジェクトにおいて「課題解決だけではない相乗効果を出す」ことを目指しているというお話がありました。この「相乗効果」を出すにあたり、どんなことを意識されていたのでしょうか。

根本「相乗効果」はつまり、MIMIGURIが提供する案件価値ということでもあります。
MIMIGURIが保有する採用戦略の実績は数十案件にのぼるため、そのナレッジとエムスリーの現状を照らし合わせながらベストな戦略を探りました。採用戦略上、競合になっていくであろう他社のリサーチや、ナレッジを活かしたペルソナ設計など基本的なところは押さえつつも、やはり日本屈指のベンチャーであるエムスリーがベールを脱ぐ、ということでポテンシャルは十分と感じていたので、外部露出ポイントや見せ方などが適切になるよう設計にしました。

MIMIGURIとのプロジェクトが始まった2020年5月頃は、新型コロナウイルスの流行により全世界に激動の変化が訪れ、医療業界にも大きな影響が及ぼされた時期でした。エムスリーの事業を取り巻く環境が劇的に変化した1年であったと思いますが、プロジェクトマネージャーである根本さんが特に注力したところはどのようなところだったんでしょうか。

根本プロジェクト全体を俯瞰して見ると、「医療×ITの巨人ベンチャー、エムスリーがデザイン組織を立ち上げる」「時価総額が上昇し続けているタイミングでコーポレートサイトをリニューアルする」「コロナ禍で医療をめぐる環境が変化し続けている」という大きなファクターを多く含んでいます。そのため安定したデリバリーは大前提となり、加えて状況の変化に対応し続けること、さらにはその中で生まれた課題や価値を拾い続けるということを念頭に置いていました。

プロジェクトにおけるデリバリーを安定させるために、具体的にはどんな取り組みをしていったのでしょうか。

根本これはどのプロジェクトにも言えることなのですが、最初に設計した目的やプロセスは、進行するうちに鮮度が失われていくものです。今回の場合、エムスリーは特に凄まじい変化の中にあったために、常にアジャストしていきながら、いかにMIMIGURIの提供価値に紐付けて担保していけるかというのが命題でした。取り組みとしては例えば、開発のフェーズではプロジェクトマネージャーを根本とMIMIGURIの スクラムマスター 高田洋明の2名体制のアサインとすることで、僕自身が常に目線やアクションを変化させて価値の担保と向上に集中できるようにしました。

2名体制で2社間の情報の対称性を高めていくことで、安定したデリバリーと課題解決、価値創出という3つの柱を提供できるように心がけました。情報の対称性を高めるにあたっては山崎さんのお力添えもいただいて、採用担当者やシステム担当者の方など、本プロジェクトに関係するステークホルダーの方を巻き込んで情報の接続と共有を行っていきました。

山崎コーポレートサイトリニューアルもデザイナー採用サイト立ち上げも、MIMIGURIによって提供された大きな価値でした。その上でMIMIGURIだからこそ提供いただけた価値だと思うのは、エムスリーが主体となり、私達がやりたいことに対して親身に、MIMIGURI自身のスタイルすらも調整しながら伴走いただいたことだなと思います。

エムスリー デザイナー採用サイト。 大きく掲げられたデザイン組織のビジョンは、MIMIGURIのコピーライター 大久保潤也がコピーライティングを担当しました。

こげつデザイン組織を立ち上げコピーを開発し、Webサイトとして組織のビジョンを公開することは、「エムスリーはデザインを重視する経営を行っている」という意思表明にもなったんですよね。


山崎特にコーポレートサイトのリニューアルは、社内外の両面で大きなインパクトになりました。コーポレートのビジョンを社内の共通言語・共通価値観である「サグラダファミリア」のモチーフを用いたビジュアライズが実現できたんです。

コーポレートサイトで表現された、エムスリーの“サグラダファミリア“。 緑豊かな都市を構築する様子が描かれています。

山崎実はエムスリーは過去10年の間、コーポレートサイトのアップデートをしていませんでした。まずは顧客が実際に使うサービスを充実させることに注力していたことが理由であり、それはある意味では正しい戦略ではあるんですが、ともすれば偏ったROI(Return On Investment/投資利益率)主義にも見えかねません。顧客志向で事業を推進することは「正しい答え」なのですが、「正しい答え」を繰り返していると失敗してしまうというのが、まさに「イノベーションのジレンマ*」で警告されていることなんです。

*イノベーションのジレンマ
アメリカの経営学者であるクレイトン・クリステンセンによって1997年に提唱されたイノベーション理論。

こげつコーポレートサイトやデザイナー採用サイトには社外の方だけでなく、社内のメンバーからもSNSで多くのリアクションがあり、とても好評だったんです。実際に問い合わせも多く、デザイン組織への期待が高まっていくのを肌で感じましたね。

山崎代表の谷村自身も、デザインに言及することが増えたように思いますね。事業チームでもデザインに関する議論が増えて、リニューアルを機にカルチャーが変わってきたのを感じます。谷村が語り続けてきたサグラダファミリアのモチーフを選び、ビジュアライズしたことで、社外だけでなくインナーブランディングにも繋がったんです。エムスリー全体が真のワンチームになれた感覚がありますね。


「サグラダファミリアのキービジュアル」は、互いのリスペクトから生まれた。

サグラダファミリアを想起させるビジュアルは、リニューアル後のコーポレートサイトの一面に描かれています。なぜ、このモチーフを選ばれたのでしょうか。

山崎最初からこれに決まっていたわけではなかったんです。いくつかの案を経て、代表の谷村が語る「サグラダファミリア」を世界観のモチーフにするに至りました。


根本エムスリーのコーポレートビジョンを象徴するビジュアルを提案するにあたり、様々な方向性を検討しました。エムスリー社内文書にも、IR資料にもサグラダファミリアに関する文面が含まれていたのですが、よくよく聞いてみると、社内での認知度もとても高く、全社的に浸透しているキーワードであるということがわかったんです。

山崎エムスリーでは「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」というミッションを掲げています。この実現に向けた⻑期ビジョンを、スペインにあるサグラダファミリアの建築に準えているんですね。100年以上建築し続けるサグラダファミリアと同じように、私達のビジネスも100年以上作り続けるものです。そして、実はサグラダファミリアは内部までも美しく作られている。だから私達の組織も美しくあろうというのが、谷村が伝えたいメッセージでもあったんです。

こげつビジュアルの方向性が定まった時のこと、すごくよく覚えてます。他にも複数の案がある中で、MIMIGURI デザイナーの吉田直記さんが「実はこういうものを作ってみました」と、補足案として独自にサグラダファミリアのビジュアルを3Dモデリングする案を持ってきてくれたんですね。その場にいた他のMIMIGURIメンバーすらも聞かされておらず、驚いた表情を見せていたのが忘れられません(笑)。


根本まさか3Dモデリングを行うとは、吉田以外のメンバーは誰も想像していなかったですからね。まったくの予定外でした(笑)。

山崎私達がノックアウトされた瞬間でした。これも、やはり互いにリスペクトしあうワンチームでないと生まれない展開だったと思うんです。私達にとっては、プロフェッショナルであるMIMIGURIから提案された当初の案から選ぶべきだというバイアスもかかりうるし、反対に私達から要望を伝えるとしても、上下関係があってはトップダウン的な生まれ方をしてしまいます。同じ目標を見据えて伴走する対等なバランスのチームでないと、このような劇的なアウトプットは生まれないものだと思うんです。

根本そこから、「サグラダファミリア」を構築することが、このプロジェクトにおいて非常に重要な使命となったんです。その熱量を高いままに徹底的に作り込めるように、ビジュアル制作は他の開発進行から切り離し、単体で納得いくまで作り込む進行に変えました。公開直前まで調整を行なっていたので、最後の方はさすがにひやひやしていましたけどね(笑)。

山崎妥協のない作り込みが叶ったことで、ビジネス上の意味と組織マネジメント上の意味が見事に融合されている、エムスリーにとって非常に重要なビジュアルになりました。

2024年、世界でも戦えるデザイン組織へ。

こうして、エムスリーの注力プロジェクトであるデザイン組織の変革は現在進行形で目覚ましい成果をあげているところですが、一連の取り組みを振り返り、最も大きく作用した施策は何だったと言えるのでしょうか。

山崎難しい問いですね。組織改革の中で大きな施策がいくつもあったので、どれか一つというよりは、全てが複合的に相互作用し成果を出せたのだと思います。私が担当役員に就任したこと、こげつがエムスリーに戻ってきたこと、採用担当者である友永がエンジニアリンググループで培ったノウハウを横展開してくれたこと、役職としてCDOを設けて私が就任したこと、実際にデザイナー採用活動が成功していること、コーポレートサイトがリニューアルしたこと、そしてデザイナー組織のサイトが立ち上がったこと。これらの複数の大きな施策が積み上がって出せた成果なのだと思います。

こげつそうですね。プライオリティの観点で施策を振り返ると、プロジェクトがスタートした時点で、アウトプットとしてはコーポレートサイトリニューアルの優先順位を高くして即座に動いていきました。山崎が言うように、どの施策も重要で複合的に絡み合った成果であることは間違いないですが、ミッションのビジュアル化やリニューアルによって「デザインの力で本当に変えられるんだ」と視覚的に証明ができたことは、因子として大きかったのではないかと思います。

たった1年間で、組織をここまで劇的にターンオーバーさせるのはとても難しいことだと思います。

こげつ実際に、デザイングループで働いているデザイナーの皆さんからの評価もとても高いんです。「ここまで良くなると思ってませんでした」という声もあって。僕自身も嬉しいですし、素晴らしい成果だと誇れますね。

2021年4月、山崎さんの後を継ぐ形で2代目CDOにこげつさんが就任されました。改めて、これからの展望と意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。

こげつこれまでのエムスリーの歴史としても、私達デザイン組織の歴史としても、その歩みを振り返ると事業に寄り添うことが軸となっているんですね。常に、どうすれば事業のさらなる加速が実現できるのかを考えているんです。


「ワンチーム」は今日のキーワードでもありましたが、やはりプロダクトのチームにおいても同様にワンチームであることが重要です。デザイナーがプロダクトチームで活躍できる環境を作ることや、デザイナーの成功をいかにデザインするかが私の一つの役割でもあります。その成功を積み重ねていくことが、エムスリーの事業の発展やエムスリーのミッションの体現に繋がっていくと考えています。


エムスリーは世界600万人以上の医師が利用するプラットフォームを有しており、グローバル展開の土台が既に出来上がってきている企業です。既に、エンジニアリンググループやプロダクトチームは世界を目指すフェーズに入ってきました。デザイン組織もそこに追いつき、2024年には、世界でも戦えるデザイン組織にしていきたいですね。



エムスリーは現在、プロダクト開発スピードの加速、クオリティのさらなる向上のためにデザイナーを募集しています。

  • Writer

    田口友紀子