遊ぶ文化を醸成する・社内クラウドファンディング「PLAYFUL FUND」
- Guest :
- 安斎 勇樹(Co-CEO)
安斎 勇樹
Co-CEO
東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。現在は東京大学大学院 情報学環 特任助教を兼任。博士号取得後、株式会社ミミクリデザイン創業。その後、株式会社DONGURIと経営統合し、株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOに就任。経営と研究を往復しながら、人と組織の創造性を高めるファシリテーションの方法論について探究している。主な著書に『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』、『問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』などがある。
PLAYFUL FUNDとは?
- 自社の組織開発にもチカラを入れているMIMIGURI。SNSを見た方から「楽しそうだが、実際にどんなことをしているのか」と尋ねられる。
- そこで今回は「PLAYFUL FUND」という探索活動を支援する制度を紹介する。
- PLAYFUL FUNDは、社内クラウドファンディングのような制度。
- チームに分かれ、自分が行いたい遊び = 探索的な取り組みをプレゼンし、聞き手は応援したい取り組みに投げ銭を行う。
- 探索的な取り組みの粒度は様々で、これまでには、社内美術館を作る、オフサイトミーティングを行う、「旅する絵本」などが実施された。
自己に向き合う葛藤が、組織を強くする
- 予算を得ようとすると「これって本当に自分がやりたいことだっけ?」という葛藤が生まれるし、自分は楽しいが他人が楽しくないことでは予算が得られない。
- また経過報告会でも、「予算を得たことが本当にやりたいことだったか?」「本当に楽しく、こだわりのあることだったか?」など「探索を通じて得た葛藤」が共有される。こうしたそれぞれの葛藤が、ナラティブに語られることで、組織をエンパワーメントできる。
- 大切なのは、自分の好きなことで他者に喜んでもらう経験を獲得すること。目的思考な仕事ばかりだと、「自分のやりたいこと」を抑えてしまうこともあり、サステナブルではない。探索を当たり前に行い、そこから成果を出す体験を小さくても得てほしいと考えている。
こだわりや葛藤が、多様性理解を促進する
- こだわりというものは他者に伝わりにくいし、取るに足らないことだと思われがち。だが、「言ってもわかってもらえないのでは」という疑念は、心理的安全性のボトルネックになる。
- お互いにこだわりを開示して受容される経験を積むと、多様性理解が進む経験値を獲得できるし、ボトルネックも減らせる。
- 結果として、アイデンティティを育み、それをお互いに支え合ってより強固にする関係性も生まれる。
Playfulな雰囲気は、非日常を感じられる演出から
- PLAYFUL FUNDは全社総会のコンテンツの一部だが、事業や経営の状況を伝える場でもある。その流れで目的思考のまま取り組むと、「自分の好きなことで、他者に喜ばれるには」と理詰めで考えてしまい、本質的にエンパワーメントされた楽しい状態にすることが難しくなる。
- そのためPLAYFUL FUNDでは、モードチェンジのために非日常を感じられる演出を取り入れたり、なるべくハードルを低くして自分たちのこだわりや熱量を引き出すためのコミュニケーションを心掛けている。
- 企画する側が探索して遊んでいく姿勢を見せて、巻き込んでいくのが重要。遊ぶためにはコストと覚悟が必要だが、MIMIGURIは楽しく遊び続けられる組織でありたい。
創造的な組織と事業を創りだします
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