広義ファシリテーションの現在地と未来
- Guest :
- 渡邉貴大(ファシリテーター)
- 根本紘利(プロジェクトマネージャー)
渡邉貴大
ファシリテーター
根本紘利
プロジェクトマネージャー
早稲田大学商学部卒業。規模/業態の異なる複数の組織において、人事やコンサルタントとして業務に従事。チェンジ・エージェントとして組織変革のファシリテーションを実践してきた。MIMIGURIでは個人と組織が自らの「story writer」となり、自分や自分たちの物語を紡ぐ機会を演出する組織・事業開発、イノベーションプロジェクトのPMとファシリテーションを担当している。
ECコンサルティング業デザイナー→アパレル小売業Webマスター→在京民放テレビ局番組Webサイト制作・運用→地域商社プロジェクトマネージャー→Slerプロデューサーを経てMIMIGURI(旧DONGURI)に入社。 クライアントワークの開発プロジェクトにおける設計や進行に加え、組織開発・推進のプロジェクトに従事し、自社ではプロジェクトマネジメントの体系化と組織浸透を目指し、全社プロジェクト品質の底上げやアジャイル推進を進めている。
- 株式会社MIMIGURIの今をお届けする『MIMIGURIの談話室Podcast』。第14回は、ファシリテーターの渡邉貴大、プロジェクトマネージャーの根本綋利とともに「広義ファシリテーションの現在地と未来」について考える。
広義ファシリテーションの定義と意義
- 近年『人材版伊藤レポート2.0』や海外での無形資本投資への注目など、「人的資本経営」への関心が高まっていると感じる。
- ファシリテーションは、組織において人と人との関係性をより豊かにできる技法であり、広義に拡張し普及することで人的資本の活用に寄与できるとミナベは考える。
- 狭義のファシリテーションは会議進行のイメージだが、その起源を踏まえて広義に捉えると、対話を通じて、矛盾するA・Bから更に高い段階の「プランC」を生み出す、アウフヘーベンができるものだと渡邉は考えている。
越境したファシリテーションで、学びを触発する自律的な組織に
- 組織が大きくなれば、分断が起き、矛盾が生まれやすくなる。渡邉はファシリテーターとして、ステークホルダーの視点の相違点、共通点を整理し、編み直している。固定化された個々の視点を相手の景色に向けさせる創造的対話の機会を作ることがポイントだ。
- このような動きはCoEやHRBPの動きと共通する一方、焦点が異なるとミナベは語る。
- CoEやHRBPでは次々に課題を解決し、コトを推進することに焦点を当てる。一方でファシリテーターは、課題解決のプロセスに焦点を当てる。レトロスペクティブやリフレクションといった振り返りにより、組織内部の学習力を高めることで、組織の前提認識や観点をアップデートし、レバレッジをかける。
- これにより、自律的な意思決定ができる状態を促し、組織に求心力をもたらせる。結果、越境したファシリテーションを実践すれば「プランC」という価値創造ができる文化を作り出せるというわけだ。
創造的な対話を生み出すために実践していること
- MIMIGURIでは関係性構築に課題をもつクライアントに対し、具体的にどのようなファシリテーションを実践しているのか。
- ミナベは「プレ対話」を実践している。集団で対話をする際、いきなりWhyや価値観を大勢に晒すのはストレスがかかる。そのため、1on1などのクローズドな場で前提を分かち合ってから、集団での対話に臨むようにする。一度、Whyを分かち合い対話が成功すれば、自然と対話ができる組織になっていくと語る。
- 渡邉はプレ対話ができない場合のパターンとして、対話の冒頭でアイスブレイクをおこなっている。個人主語での発話を促し、参加者が受容している状態を作ることで、場のマインドセットを作る技法だ。
- 根本は事前の1on1リサーチの際、ステークホルダー同士の考えを意図的に繋げている。集団対話に向けた準備の意味合いもあるが、これにより、根本がいない場でも勝手に触発が起きて対話が生まれることがあるという。
好意の眼差しが広がる文化づくりを目指して
- バックグラウンドの異なるメンバー同士の対話、利害関係ある場では、第三者的な振る舞いができるファシリテーターの存在が必要だが、ひとりが1on1で対話し組織を繋げるには限界がある。数万人規模の組織に対しファシリテーションを実践するにはどうしたらいいのか。
- 渡邉は、複数人でファシリテーションが行えるよう、文化を育むことが有効だと考えている。ロールに関係なく、お互いの良さを引き出す「好意の眼差し」を作ること。相手に関心を持ち、どうしたら自分の良いところと掛け合わせられるか考え、行動することが重要だ。
- それぞれの組織らしい対話のかたちがあるはず。MIMIGURIでも実践探索をしつつ、積極的にナレッジシェアをしたい。皆がウェルネスな状態で、組織をより良く前進させられるように、共創していけるといいなと思う。
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