となりのラジオ 第2回 | Guest: 松浦瞳さん(株式会社THE COACH 代表取締役)

Guest :
和泉 裕之HR
戸田真梨子HR
  • 和泉 裕之

    HR

  • 戸田真梨子

    HR

  • 日本赤十字看護大学卒業。在学時より対話やワークショップに関心を持ち、看護師・保健師の国家資格取得後、フリーランスのファシリテーターとして独立。医療職対象の対話型ワークショップを病院や薬局などで多数実践後、株式会社ミミクリデザインの立ち上げに参画。コンサルティング事業部のマネージャーとして、少人数~数万人規模の組織開発・人材開発プロジェクトに従事。現在は株式会社MIMIGURIの組織人事として、社内放送局「MIMIGURI ch」の総合プロデューサーを担当。

  • エンジニア/営業/Webディレクターを経験した後、人事へ。創業/拡大期のクリエイティブ/エンジニア職の採用、理念開発、組織開発、人材育成などの施策を企画/推進。その後、合併に伴い理念戦略/人事評価制度の策定、組織統合などPMIプロジェクトを担当。MIMIGURIでは人事・広報の領域を担当。人の才能/ポテンシャルに触れることが好きで、組織/チームの創造性が発揮される環境や仕組み作りについて探究している。

となりのラジオ 第2回 | Guest: 松浦瞳さん(株式会社THE COACH 代表取締役)

  • 株式会社MIMIGURIのPodcast「ミグキャス」の番組『となりのラジオ』。この番組では、社内ラジオや放送局を運営しているゲストをお招きし、組織開発としての「社内放送」のポテンシャルを、ゲストと共に探求する。
  • 今回はゲストに、株式会社THE COACH 代表取締役の松浦瞳さんをお迎えし、MIMIGURIの和泉・戸田をMCとしてお送りする。

「THE COACH」と社内ラジオ「ひとみんラジオ」

  • 「THE COACH」は正社員6名、業務委託メンバーを含めると30名、外部パートナーコーチの方を含めると合計50名程度からなる組織である。また、『THECOACH社内ラジオ~つむぐ、あじわう、つながりあう』(通称『ひとみんラジオ』)は、同社代表取締役である松浦さんが運営する、2021年11月に開始した社内ラジオである。
  • 社内ラジオ『THECOACH社内ラジオ~つむぐ、あじわう、つながりあう』(通称『ひとみんラジオ』)は、「コーチングマインドをひろげる」というミッションを掲げる「THECOACH」が、「あなたにとってのコーチングマインドとは?」という問いをきっかけに、所属するメンバー1人一人の想いとミッションの接続点を発掘し、言語化していく内容になっている。
  • 社内ラジオを始めたときの課題感は「同社は探究型組織であるゆえ、問いと向き合うことや対話をするのは得意なメンバーが多いが、一方で具体化へのエネルギーが働きづらい」ということだった。
  • そこで、社内の個々人の想いや葛藤をメンバーに届けるために、社内ラジオを創設した。「社員同士をつなぎ、みんなで分かち合うこと」を重視し、メンバーとの1on1ではなく、社内ラジオという形式を採用した。

社内ラジオの役割は「ミッションの解像度の向上」、「一人一人が会社にいる意味の言語化」と「メンバー同士のつながり」

  • 社内ラジオでは、代表自ら自身の葛藤を共有する回と、社内メンバーをゲストとして迎えて対話をする回がある。
  • 毎回メンバーをゲストとして迎え、対話をする回では、各々のストーリー、変容体験や未来にやりたいこと、葛藤を開示しあうことで、メンバーそれぞれのなかで「なぜ今THE COACHにいるのか」に関する解像度が上がった。また、同社では1人1人の考え方を言語化していくことを大切にしており、各々の持つストーリーや原動力、想いを「組織の栄養」にしていく営みは当社らしい在り方であると再認識できたそうだ。
  • 代表自ら自身の葛藤を共有する回では、会社の現在地と未来に向けた構想、その過程での葛藤、などをありのままに共有することで、社員も自らの葛藤をシェアしやすい空気、そして葛藤を持ちながら事業を推進するエネルギーにつながった。
  • 同社が大切にしている「コーチングマインド」には「人が自分自身で育つ力を信じる」、「可能性に気づく」、「多様性のあり方を祝福する」などさまざまな要素があるが、あえて一意に定義はせず、曖昧さを残している。なぜなら、個々人によって捉え方が様々で、語りのなかから思考するきっかけを作りたいからだ。あえて定義しないことで、自分自身のとらえる「コーチングマインド」と向き合い続けてほしいという意図がある。
  • ラジオをきっかけとして、フルリモートであっても社内の対話が生まれ、メンバーがつながったり、お互いの強みを活かし役割を補完し合うムーブメントにつながった。また、組織に体温が宿ったような感覚も生まれたそうだ。

社内ラジオを運営するうえで重要な「声」

  • ラジオを運営する上で重要なのは、「社内のメンバーに聞かれたがっている『声』や隠れた熱量をいかに表出させるか」である。そのためには、社内のメンバーの興味関心にアンテナをたてることが必要だが、その「声のタネ」を即座に育てようとせず、花になるのを待つのが重要である。
  • 社内ラジオの運営は、「積み重ねていくことにより組織の栄養になっていく」という点で、組織開発のプロセスと似ているとも語られている。

継続する上での工夫は「不定期でもラジオを続けること」と「味変」

  • 社内ラジオを、やらないといけないことにしない。つまり「程よく気まぐれである」ことが重要であると松浦さんは語る。なぜなら、楽しいと思っている人が楽しみ続けるからこそ、社内に広がる感覚があるからだ。
  • ラジオを施策として絶対的なものと捉えず、「こういうオプションもあるよ」といった程度の、ひとつのアプローチとして捉えることで、持続可能なものになっている。
  • また、最近では「THE COACHの存在目的」や「なぜ今あなたはここにいるのか」など、当初のテーマから派生した別のテーマを扱っている。定期的にテーマを変える、つまり「味変」を行うことで、リスナーの飽きを防ぐだけでなく、新しいテーマを通じて「声のタネを持つ人を探すきっかけ」としている。
  • このような工夫は結果的にできた戦略ではなく、組織開発のプロセスを公開することで、みんなのなかにも想いが宿った結果であると松浦さんは認識している。

今後は「問いのバトンを渡し合える」文化づくりを

  • 今後のコンテンツとしては、相互理解の観点から「みんなのB面(普段見えない一面)を知る」ことにフォーカスしたラジオを収録したいと考えている。
  • また、社内ラジオをきっかけに「探求のシェア」を行い、問いのバトンを渡し合う文化を創ることを重視したい。例えば、2名でラジオを収録して2者間で深めた問いをきっかけに、社内で派生して新たな問いが生まれたり、リスナー自身がその問いについて考えたりできるようになることを想定している。
  • 今後の運営については、もし松浦さんご自身が社内ラジオの取り組みから抜けても、現在生まれている循環を、再現性ある形で使えるようにしたいという想いがある。そのために、新たに他チーム・他部署の方を話し手とすることで、「想いを語れるラジオ」という枠組みを全社にまで広げていきたいと考えている。また、現在は、松浦さん個人の視点から話を語る場としてラジオを放送しているが、「個人の視座に加えて、組織として向かう方向性をラジオを使っていかに伝えていけるのか?」というテーマについても考えていきたいそうだ。
  • 社内ラジオの取り組みに限らず、例えばSlackのスタンプなどを通じて、オンライン上でのやり取りを通じてメンバーがエンカレッジし合えたり、1歩外に出る勇気をもらったり、発信のきっかけとなるような文化に昇華させていきたい、と松浦さんは意気込みを語った。

収録後、松浦さんから下記のような声が届きました。

  • 実はこのラジオ収録後、たまたまメンバー発案で社内メンバー主導のラジオが増えました。ひとつは、受講生の声を届ける「きくらじ(受講生にきくラジオ)」。これはあえて、一般公開にしていますが、我々のサービス体験者がどのような変容体験をしたか、社内メンバーの理解も深めたいという意図もあり始まりました。結果として、受講を検討中の方向けに受講体験を振り返るラジオになっています。
  • https://twitter.com/ocapiiii/status/1639878868302692352?s=20
  • もうひとつは、こちらは受講生限定の「かたらじ(講師がかたるラジオ)」。これは、社内にある様々なコーチングに関する探究や学びを受講生に届けるためのラジオです。社内での対話の一部で、受講生にも聞いていただきたい内容や、メインのコースの時間には納めきれなかったが、実はコーチングの学びを深める上で伝えたい・語りたい内容をラジオ形式でお伝えしています。
  • https://twitter.com/thecoachjp/status/1638382491303026690?s=20
株式会社 THE COACH
「コーチングマインドを社会に広げる」をミッションに、オンラインコーチングスクール「THE COACH Academy」、コーチングサービス「THE COACH Meet」、法人向け「THE COACH for Business」を提供しています。
松浦瞳
株式会社THE COACH 代表取締役。日本ロレアルに入社後、コンサルタントに転身し、シンガポールオフィスを立ち上げ。東京・シンガポール両オフィスに所属するコンサルタントとして、マーケティング・ブランド戦略の立案などに従事。その後、資生堂の経営戦略部を経て独立。独立後は、戦略コンサルタント兼コーチとして活動。1児の母。