相手よりも、相手のことを知る」――ブランドストラテジーチームが辿り着いた、デザイン組織の築き方。

  • 吉野拓人

    ブランドデザイナー

  • 遠藤雅俊

    クリエイティブデベロッパー

  • 高田洋明

    スクラムマスター

  • シャープ株式会社で3Dディスプレイ開発に約5年携わったのち、デザイナーへ転身。企業やプロダクトのCI・VI / Web / パッケージ などのデザインを行う。現在はチームリーダーを務めながら、「感情を動かすモノづくり」を目標に「モノ起点」のブランディングに重きを置いている。

  • ソフトウェア開発に5年従事。その後、デザインの重要性を感じDONGURI(現・MIMIGURI)にジョイン。現在はエンジニアリング全般を担当し、クリエイティブの制作や制作プロセス改善等を行う。ラッキーアイテムはキャスケット。

  • デザイン制作会社にて、デザイン、ディレクション、プランニング、プロジェクトマネジメントなどを幅広く経験。DONGURIではその経験を活かし、チームメンバーが活き活き楽しく仕事ができるようにアドバイスやチーム作りに関与する傍ら、人を動かせるコンセプトプランニングをするべく研鑽の日々を送っている。

プロダクトマネジメントにおける先端アジャイル開発を取り入れて、多くのブランディングや製品開発に取り組むブランドストラテジーチーム。

DONGURIに所属する彼らは、価値ある課題を見つけるロジックと、個人が持つ多様なスキルを掛け合わせて、課題解決できるアウトプットを、チームの力で実現することを得意としています。

「デザイン組織の追求で、可能性の器を拡げたい」。チーム自体の成長や仕組みづくりに動機を持つメンバーが集結したこのチームは、自分たち自身のチームを、一体どのようにつくり上げたのでしょうか。

彼らが試行錯誤を重ねた道のりには、そのプロセス自体に、チームづくりのナレッジが詰め込まれていました。

「WHYを検証し続けていくうちに、モダンアジャイルになっていった」

DONGURIでは、内発動機ごとにチームが構成されていますね。ブランドストラテジーチーム(以下:ブラストチーム)のメンバーはどのような内発動機を持っているのでしょうか。

吉野僕たちブラストチームは、DONGURIの中でクリエイティブを担当するチームであると同時に、デザイン組織を追求することに動機を持っています。同じくクリエイティブを担当するクラフトマンチームと比較するとわかりやすいと思うんですが、クラフトマンチームはアウトプット自体の持つ魅力に特化して、エモーショナルなデザインを実現することを動機としているんです。対してブラストチームは、着地点となるアウトプットは同じであるものの、外殻の美しさの追求と同時に、価値ある課題を発見して解決するという両輪をいかに回すか、というところを大事にしています。どちらも課題解決を目指すところは変わらないのですが、強みの違いとして、クラフトマンはエモーショナルなアプローチで「価値創造」を強みとしているのに対して、僕達のチームは「課題創造」による論理的なアプローチで分かれているという形でしょうか。

ブランドストラテジーチーム ブランドデザイナー 吉野拓人

ブラストチームが得意とするプロジェクトにはどのようなものがあるのでしょうか?

吉野プロジェクトとしては、組織開発や事業開発と連携してのCIデザインや製品開発が多くなってきています。DONGURIのコンサルタントワークを行うチームと並行する形でジョインして、一緒にブランド策定やデザイン開発を行なっていく、みたいな感じです。あとブラストチームの特徴だなと思うのが、自分たちのチームを起点とした “仕組みづくり”に動機を持っていることですね。

ブラストチームが考える仕組みづくりとは、どのようなものなのでしょうか。

吉野プロジェクトで実践したプロセスやフレームワークを体系化して共有し、さらに再現性ある状態を実現することですね。僕たちは「インストール」と呼んでいるんですけど。プロジェクトのワークプロセスにおける「課題発見」と「課題解決」のナレッジを言語化して形式知化して、伝達して。さらに、実践して体得していくまでの一連が仕組みづくりだと考えています。

高田ブラストチームでは、チームのビジョンとして「プラットフォーム」、持続的なブランドストラテジーを手がけていくための基盤づくりというのを掲げているんです。課題を発見して、それを解決するためのHOWとしてブランディングを手がけながら、それを活用し、チームと個が成長できる仕組みをつくりあげていくことで、個人に依存せずに高い成果を出し続けられる。そうしたサステナビリティを実現させるためのチームミッションとして、吉野がお話しした「インストール」を実現し続けるというのがブラストチームの思想ですね。

ブランドストラテジーチーム スクラムマスター 高田洋明

個人に依存せず、チームと個人が成長し続けられるプラットフォームをつくる、ということですね。

吉野はい。なのでブラストチームはDONGURIの中でも特に、先端の思想や取り組みを実験して検証する場所、のような立ち位置なんです。そうなろうと意識をしたわけではないんですが、集まったメンバーが課題発見や仕組みづくりに楽しさを感じる人達だったので、自ずとそんな立ち位置になっていったっていう形ですね。

ブラストチームが実際に取り入れていることには、どのようなものがあるのでしょうか?

吉野例を挙げると、リーンやデザイン思考のような課題発見と検証方法、プロダクトマネジメントにおけるモダンアジャイル的なワークプロセスがありますね。

高田アジャイル自体はソフトウェア開発の手法として生まれた概念ですが、近年はその考え方がビジネス分野にも応用されているので、モダンアジャイルはその波及に伴って登場した概念とも言えるのかもしれないですね。

モダンアジャイルは2016年に提言され、ここ数年注目されている概念ですよね。

高田そうですね。「人々を最高に輝かせる」「安全を必須条件にする」「高速に実験&学習する」「継続的に価値を届ける」という4つの原則からなる概念ですね。別に特定のプラクティスがあるとか、そういうことではないんですが、結果にフォーカスして短いサイクルを柔軟に繰り返すというアプローチは非常にシンプルで応用性が高いなと思います。

実際にプロジェクトに取り入れると、どのような違いが出るのでしょうか?

高田従来のアジャイルの考え方にもある柔軟性やスピードもそうなんですが、 モダンアジャイルはそれに加えて心理的安全性を重視するという概念なんですよね。なので、変化を恐れずに挑戦できるっていうところが大きいかなと。

確かに、「高速に実験&学習する」という原則は、「安全を必須条件にする」がないと成り立たないですね。モダンアジャイルの概念が効果的に働くのは、どのような場面なのでしょうか。

高田例えば開発プロジェクト進行では、社内キックオフで課題におけるMECEなすり合わせや情報共有を行ったり、ウィークリーやデイリーでスプリントを組んで、潜在的なイシューの洗い出しや、チケットへの紐付けを管理して常にレビューしています。どれもすべてチーム全員参加で行っているので、情報の透明性も高いですし、誰が何に対してどのように対処しているのかを知ることができます。要件変更や状況の変化が起きてもすぐにキャッチアップできますし、それ自体がリフレクションの場にもなっていますね。

遠藤あとは、決められたスプリント内で要件変更や遅延が発生してしまった場合でも、チーム内で管掌範囲を超えた対応をすることで、スピーディーに課題解決まで到達でき、より良いアウトプットになったということもありました。成果にスコープする前提の概念なので、各自がプロジェクトの目標から逆算して、能動的に取り組んでいけるところがありますね。その他にも、デザイン思考的な、プロトタイプベースでのフィードバックループを短いサイクルで繰り返し、目的自体の精度を上げるようなやり方を実践しています。

ブランドストラテジーチーム クリエイティブデベロッパー 遠藤雅俊

既に成果が出て来ているんですね。ブラストチームがモダンアジャイルの考え方を取り入れ始めたのって、いつ頃からなのでしょうか?

高田実は、モダンアジャイルという概念を知ったのは後からだったんです。

えっ、後からですか?

高田はい。モダンアジャイルだけでなくスクラムという概念も、後から知りました(笑)。課題が本当に価値あるものなのかを短いサイクルで検証し、精度を確認していくようなアジャイル開発のやり方は、僕自身がプロジェクトマネジメントで以前から実践していて。チームビルドアップの仕方とも連携して、カスタマイズしてきていたんです。そのやり方をミナベ(DONGURI 代表)と話していたら、「それはプロダクトマネジメントでのスクラム開発のやり方に近いね」って言われたんですね。それで調べてみたら、なるほど確かに近いものがあるなと。そこから興味を持って調べていくうちに、モダンアジャイルという概念も知って。自分が取り組んできた、プロジェクトの中でレジリエンスを高めてチームを組成していくやり方とかなり近しいなって気づいていったんです。WHYを検証し続けていくうちに、モダンアジャイルになっていったんだなって。

そうだったんですね。てっきり、初めから概念ありきで取り入れているのかと思ってしまいました。

吉野チームの中でより良いプロセスになるように学習していき、「正しいプロセスで、より価値ある課題を解決したい」と考えているうちに、自然に寄っていったという感じでしたね。

遠藤時期でいうとちょうど今年の3月くらいに、スクラム開発がチーム内で回り始めて。プロジェクト運営が安定していったんですね。安定は喜ばしいことですが、チームとしてのその次、その先を考え始めるようになったタイミングだったんです。DONGURIには優れた事業コンサルタントがいるので、そのビジネスサイドとの連携って重要だよねとか、チームメンバーとの対話の質を上げていった方がいいんじゃないかとか。チームをさらに成長させていくことを考えていったときに、エンジニアリングマネジメントにおけるモダンアジャイルの概念を知ったんです。

高田モダンアジャイルの4原則の中に「人々を最大に輝かせる」ってありますけど、これって「みんながそれぞれ、今一番興味があることに取り組めてる状態が一番良いよね」っていうことでもあって。それって内発動機にも結びついている話でもあるんですよね。で、「継続的に価値を届ける」っていうのは、再現性を持たせて、今よりもさらに価値を発見する力を手に入れていくっていうことでもあって。なので、モダンアジャイルっていう概念を知ることで、改めて自分たちが取り組んできたことを捉え直すことができて、その重要性を知れたっていうところがありました。

チーミングに取り組むべきタイミングで、ちょうどモダンアジャイルの概念にヒントを得たということですね。

遠藤内発動機の深堀りだったり、対話を持つということだったり。どれも「DONGURI で大事に取り組んできたことだね」「やっぱりチーミングでも、そういうところに焦点を当てていかないとね」って改めて納得した感じでした。

チームの理想から逆算して、不足しているスキルセットを見極める。

ブラストチームはチーミングについても、理論的、体系的なアプローチで取り組まれている印象を受けました。チームを構築していくときには、どのようなフローで進めていったのでしょうか?

吉野初めから着地点が見えていたというよりは、目の前にある一番価値がありそうな課題に対して取り組むうちに少しずつ進化してきた、っていう感じです。チームが立ち上がったのはだいたい1年くらい前ですが、最初はもうひたすら対話を繰り返して、チームのあり方とか大切にすべき軸ってなんだろうっていうところを、チームメンバー全員で話しながら考えていった感じです。そのとき、「実験」とか「バウハウス的な」、「アカデミック」、「仕組み」みたいなキーワードは既に出ていたんですね。なので、各々が実験をしていきたいという文脈は初期からあったんですけど、実はちょっと壁にもぶつかっていました。

それは、どんな壁だったんですか?

吉野当時は、メンバーのスキルセットとしてプロジェクトマネジメント力が不安定な面があったんですね。必要だと感じていて、身につけたい気持ちがあっても、なかなか追いつかないというか。僕自身もプレイングマネージャーとして最初の1年でもあったので、目の前のプロジェクト対処と対話のバランスが難しく、もがいたところもあった、っていうのが実際でした。

立ち上がりから状況が整っているわけではなかったんですね。そのもがいている時期を乗り越えるために、どんなことに取り組まれたんでしょうか?

吉野根底基盤で、メンバーのPM力向上が必要というところに行き着きましたね。個人が自走するために必要な時間や、コスト管理を行える状態がある上で、全体感を捉えた意思決定が必要という課題が見えていたんです。その頃の対話の中で、ジェネラリストみたいなキーワードも出ていたので、やはりそのスキルは重要だなと。そこで、今ある課題に対して向かえる人として、高田がマッチするんじゃないかっていう話になっていったんですね。実は、初め高田は別のチームにいて、ブラストチームが引き抜いたという経緯があるんです。

そうだったんですね! なんだか意外です。

高田もともと、ブラストチームと仕事をする機会がすごく多くて。

吉野プロジェクト特性上なのか、一緒にやることが多かったんです。そういうのもあって、高田がいてくれたらっていう話になっていったんですよね。

高田「その頃、吉野と遠藤の席が隣だったんですが、いつも間に僕がいるっていう。この配置と全く同じです(笑)。」

高田既にメンバーに馴染んでいるので、違和感がなかったんですよね(笑)。仕事の中でも、PMやクリエイティブディレクターの立ち位置で動いていたところが多かったので、そういうところを見てもらえたみたいな部分も大きかったんじゃないかなと思います。僕としてもクリエイティビティを発揮するための体系的な仕組みづくりは動機として強かったので、ジョインするのは自然な流れに感じました。

必要なスキルセットを導き出し、それにフィットする人を迎え入れるというのも、チーム構築で重要なことですね。

吉野そうですね。そこから高田の考え方やスクラムの概念などを取り入れてみんなで実践していって、先ほど遠藤が話した「プロジェクトの運営が安定していく」という状態が実現していきました。そのタイミングから、チームのビジョンやミッションについても、より明確に策定していくフェーズに入っていった形です。

チームのミッションが明確になると、メンバーの行動が変わる。

DONGURIのCIは対話によって策定されていきましたが、チームのビジョンやミッションはどのように進めていったのでしょうか?

吉野チームメンバーと対話を重ねるというプロセスは同じですね。全体的な流れとしては、対話を踏まえて視覚構造化した図式を僕がプロトタイプ的にまとめながら、認識合わせをしていく感じでした。プロトタイプは、メンバーの言動とか、プロジェクトに対する姿勢とか、いろいろ見たり話を聞いていくうちに、やっぱりこういう接合になるのかな?って仮説を立てながら作っていきました。「プラットフォーム」や「インストール」というキーワードもこの頃からありましたね。

そのプロトタイプから、どうやって今のビジョンとミッションに落とし込まれていったんでしょうか。

吉野DONGURIとブラストチームと個人の接合っていうところでプロセスを考えていきました。チームとしてのOKRを考えていくときには、自分が何に対して何をやりたいのかっていうだけを繰り返すのではなかなか難しいっていうのがあるんじゃないかなと感じていて。僕が最初に考えていたOKRもあるんですが、どちらかと言うと「何をどれだけ行う」のようにHow寄りで、チームの持つ課題とは紐づいていない状態だったんです。なので、まずDONGURIのマネージャーサイドと全体的な方針を決めました。実際にOKRを策定する上では、チームが持っているWHYと個人が持っている課題感を結び付けないといけないので、そこから動機の深掘りをしていく必要があるなと考えていったんです。

動機を深掘りしていくとなると、無意識の部分を言語化する必要が出て来ますよね。

吉野はい。なので、そのためにどういう手段があるかなっていう模索から始まりましたね。僕はもともと内省的な思考を好むところがあるので、今までに自分が本を読んだり調べたりする中で知ったフレームワークを取り入れたりとか。

高田あるとき、吉野からチームのSlackに画像が送られてきて。動機を深掘りするためにはこういうフローが必要なんじゃないか、っていうのが書かれていたんですよね。

吉野手書きのメモというか、ラフのような感じでしたけどね(笑)。流れとして、こういう手順で進めていけばきっと動機の言語化、無意識の気づきにも繋がっていくんじゃないかなっていう仮説を立ててみたんです。そのイメージのラフをメンバーに共有して、違和感がないかすり合わせていきました。

動機の深堀りとOKRの策定は、最終的にどういう流れで進めていったのでしょうか?

吉野OKRの策定については、まずマネージャー層の内発動機やチームの目標について対話を重ねましたね。その段階で一旦、定性的なOと定量的なKRを設定して、チームとDONGURIの接続を考えました。その後に、内発動機を深掘りしていくワークショップをチーム内で実施して、メンバーのOKRを決めていきました。メンバーが納得感を持ってアクションを起こせる状態を目指していければなと。

チーム内で行った内発動機のワークショップは、どのようなものだったのでしょうか。

吉野個人が持つ価値観と満足度のギャップを客観的に捉えるためにライフホイールを用いて可視化したり、人生で大きな影響があった出来事を書き出してもらったり、という感じですね。最終的には、パーソナルビジネスモデルキャンバスを書いてもらって、そこからOKRの策定を進めていきました。

そうなると、すごく個人的なところに立ち入った内容になっていきますよね。

高田良い意味で嘘がわかる状態というか(笑)、お互いに建前みたいなのは通用しなくなってきますね。初めは吉野と遠藤と僕の三人の間、その後に他のメンバーと行っていくという感じで、お互いのことを改めて知り合う機会にもなりました。こうして動機を掘っていくと、自分でも無意識だった動機に気づけるんですよね。自己理解が深まることのメリットも大きかったと思います。

チーム内でお互いに理解が深まることで、どのような変化がありましたか?

高田チーム内で、発話が生まれる機会が増えてきたのは感じますね。メンバー間のコミュニケーションであったり、プロジェクトに関することだったり。

遠藤発話のところで言うと、スプリントのときにメンバーから出る発言が、前まではタスクベースだったんです。でも、メンバーからもイシューベースで出てくるようになったっていうのは変化として明確にありますね。より効率的に、より良いスプリントが運用できるようになりました。

そして最終的に、ビジョンとミッションが決まっていったんですね。

吉野対話を重ねた上で、ビジョンの「プラットフォーム」は「持続的なブランディングをしていくための基盤」、ミッションの「インストール」は「新しいプロセスやフレームワークを試し、社内外に定着させる」という具体性のある定義を言語化して、策定しました。バリューを策定してから、はっきりとメンバーの動きが具体的になったのを感じますね。プロジェクトに対して、自分なりのバリューを生み出そう、自分なりのプロセスを入れようっていう動きに変わって来たというか。個人的にも、すごくチームらしくなってきたなという嬉しさがあります。

遠藤例えばレトロスペクティブで「昨日、本で読んだ新しい手法をこのプロジェクトに取り入れてみたい」みたいな発言が出ることもあるんですよね。もちろん、実際にどう取り入れるか? っていうのは話し合って決めていくんですけど。「新しいプロセスやフレームワークを試し、」というのはミッションで定めていたことなので、まさしく、バリューとして体現するためのアクションなんですよ。以前まではなかったことなので、新しいことに挑戦していける空気みたいなのがチームの中に生まれてきたんだなと実感しました。

遠藤「昨日知ったことを今日から試す、みたいなスピード感はすごくブラストらしいなと思います」

「相手よりも、相手のことを知る」

「インストール」というチームミッション達成のためのアクションが、メンバー個人レベルで体現されているのはすごく理想的ですね。「社内外に定着させる」というところでは、どのような取り組みをされているのでしょうか。

吉野まさに今お話ししたようなブラストチームのつくり方というか、チームのOKRやビジョンの策定については、言語化、形式知化して社内で勉強会を開いたりしましたね。

高田あと、先ほどお話ししたスクラムでのプロジェクト進行や、モダンアジャイルの概念を取り入れた事例などは、社内外の勉強会で積極的に共有していますね。とはいえ、先ほど少しお話ししたように、僕はスクラムもモダンアジャイルも言葉を後から知ったくらいです。スタンダードな定義や知識を知っていないと伝えることができないので、認定スクラムマスターの資格も取ったりもしました。そういった概念や手法があるからといって、すべてをそれに合わせていくというわけではないんですけど。共通言語として取り入れながら、プロジェクトやチームの特性に合わせてアレンジを加えて活用していって、それで成功したスキームや事例を社内外に伝えていく、という感じですね。

実際に「定着」が実現した事例には、どのようなものがあるのでしょうか。

吉野リブランディングを担当させていただいたBtoCブランドの事例ですね。ブランド策定がされた1年後くらいに、策定したブランドコンセプトや人格の雰囲気が、社内に定着して根付いているという振り返りをいただいたんです。結果として認知の質も上がり、売上にもつながったというお話をお聞きして。

それは、確かに「インストール」そのものですね。

吉野DONGURIが大事にしている、情緒面と機能面の訴求をいかにバランスよく成立させていくかというところを目指して、僕らは普段どおり楽しくお仕事させていただいたって感じなんですけど。結果として「インストール」ができたという事例なんですよね。これはチームのビジョンもミッションもできる前の話なんですけど、こういう成果をもっと意図的に生み出していきたいなと思いますね。

吉野「成功した事例を分析して、再現性のある状態で共有していきたいんです」

高田これはブラストチームの特徴として、相手よりも相手のことを知ろう、みたいな動機を持ってるメンバーは多い気がしますね。相手のことを知っていないと、定着って難しいなとも思うので、そういうメンバーの性質が成果に繋がったのかもしれない、とは思いますね。

遠藤ブランディングっていうので考えると、やっぱり長期的なスパンになってくると思うんですよね。Webサイトひとつにしても、そういうインストールの視点を持ったアプローチで進めていくスタンスを、これからも大事にしていきたいなと思います。

「持続的なブランディング」という言葉が、ブラストチームで描くビジョンをまさに表しているのだなと感じます。最後に、これからチームで挑戦していきたいことを教えてください。

吉野直近で言うと、色々な取り組みをプロジェクトで試しているので、それを知識として体系的に整理して共有していきたいですね。社内外の勉強会についても、もっと機会を増やしていきたいなと思います。長期的な視点では、DONGURIとしても、組織開発と事業開発みたいな、両軸を高めていくスタンスなので、それを推進していくというか。組織開発はアカデミックな知見を取り入れつつ、事業戦略の方はよりビジネス側の視点で、チームとして入り込んで、持続的なブランディングを実現させていきたいですね。


チームの発足から、「チームらしさ」が生まれるまでの間には、体系的に整理されたお話からは意外に感じられるほど、たくさんの試行錯誤が重ねられていました。

正解はないけれど、最適解はある。すべての状況が整っているとは限らないけれど、どこかに打開策がある。

チーム構築の一つひとつの道のりには、彼らが内発動機として深く抱く“デザイン組織の追求”のあり方が、まさに体現されていました。

  • Writer

    田口友紀子

  • Photographer

    永井大輔