1.5秒でパーパスを表現する。全社を巻き込んだ、サイボウズのサウンドモーションロゴ開発。

Point

  1. 「らしさ」を擬音語から抽出し、考察するワークショップ。
  2. 「パーパス」と「4つの文化」を、1.5秒のサウンドモーションロゴに濃縮。

業務改善プラットフォーム「kintone」、中小企業の“チーム力”を強化するグループウェア「サイボウズ Office」、大企業向けグループウェア「Garoon」、そしてメール管理・共有システムの「Mailwise」。日本におけるグループウェア市場の上位を占めるこれらのプラットフォームを提供しているのが、サイボウズ株式会社です。

国内外の延べユーザー数は、1,100万以上(2022年3月時点)。「チームワークあふれる社会を創る」というパーパスのもと、企業規模を問わず多様な企業のチームワークを支えるグループウェアを数多く生み出してきました。

同社が目指すチームワークの理想的なあり方は、「チームのメンバーが共通の理想に向かって役割分担しながら協働し、チームの生産性と働く人の幸福度を両立すること」。これらを叶えるものはチーム内の情報共有であるという想いから、数々のサービスが生み出されたのだといいます。

2022年以降、これらのサービスやコーポレートに関するテレビCMを展開するにあたり、パーパスとして掲げる「チームワークあふれる社会を創る」を、共通するサウンドモーションロゴとして訴求していきたい。そんな思いから、サイボウズ式編集部とMIMIGURIの歩みは始まりました。

「らしさ」を擬音語から抽出し、考察する。

パーパス「チームワークあふれる社会を創る」の形を、わずか1.5秒でいかに表現できるか。そのために最初に取り組んだのは、「サイボウズらしさ」を抽出するワークショップでした。

MIMIGURIはまず「らしさ」を表すエピソードや理由を、全社から募集。それらのエピソードを踏まえ、ワークショップでサイボウズ式編集部が「らしさ」を表す擬音語を直感的に表現していきました。

擬音語のアイデア出しを行う足場となったのは、パーパスである「チームワークあふれる社会を創る」と、それを達成するために必要な4つの文化「理想への共感」「多様な個性を重視」「公明正大」「自立と議論」。オンラインホワイトボードには次々と擬音語が並べられ、「なぜその擬音語がらしいと思えるのか」を考察する仮説が、後から理由づけされていきます。

こうした共同作業で生み出された擬音語について、さらなる考察の足掛かりを増やすため、各個人での投票も実施。投票の理由やサウンドモーションロゴに込めたい意図を少人数のグループで対話し、最も「らしさ」が表現できているであろう擬音語をグループごとに決定していきました。

各グループからの発表では、サイボウズ式編集部 担当者からの「一個人ではなく、組織の一員を担う立場から見てほしい」という思いを受け、「社歴の長い代表」や「インターナショナル代表」など、多様な人材を代表するメンバーが意見を語るプロセスとなりました。

こうして集めた「らしさ」のエッセンスを、サイボウズの4つの文化に紐付けて整理。そこから、サウンドモーションロゴのコンセプト作りへと進んでいきました。

「新しいチームワーク」のあり方を、1.5秒に濃縮。

「らしさ」をどのように音と動きに変換し、表現していくべきか。サイボウズ式編集部は、そこには確かに「難しさ」があったとしながらも、サイボウズが目指す「パーパス」と「4つの文化」を感じてもらえるかどうか?に常に立ち返り、同社が大切にする「4つの文化と照らし合わせながら音と動きの要素を決めていった」と語ります。

MIMIGURIは再整理されたコンセプトの要素をもとに、モーションで与える印象を時間尺の構造で整理。絵コンテを経てプロトタイプの検証を重ね、1.5秒という尺での「らしさ」の濃縮に臨みました。
サイボウズ コーポレートサウンドモーションロゴ

仕上がったサウンドモーションロゴは、複数名の声が合わさるナレーションや、多様な方向の動きから収束する動きで「多様な個性」を表現。速度の異なる軌跡を描くことでも、関わり方やあり方の多様性を強調しています。どの方向から見ても同じ形のサークルは、チームやコミュニティを象徴すると共に「公明正大」の意味づけも兼ねています。「理想への共感」や「自立と議論」を象徴するモーションとなるよう、多様な方向から中心のサークルへと収束する動きも加えられました。

このサウンドモーションロゴ開発の背景は、「サイボウズ式」の記事でもお読みいただけます。ぜひご覧ください。

(取材・文:田口友紀子)

  • Project Owner

    矢口 泰介

  • Project Manager

    山里 晴香

  • Workshop Planner

    小田桐 翔大

  • Workshop Designer

    浅田 史音

  • Art Director & Designer

    吉田 直記

  • Sound Producer

    大久保 潤也・武田 直之