SF作家とバーチャル建築家と共に、メタバースならではの“学校”を生み出すワークショップ

Meta 日本法人 Facebook Japanは、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校、S高等学校と連携しARやVR(仮想現実)に関するイベントやワークショップを展開し、次世代XRクリエイターを育成することを発表しました。MIMIGURIがパイロットワークショップとして、参加生徒の空想からXRにおける独自の世界を作り上げるためのプログラム構成とファシリテーションを担当し、プロジェクトオーナーに臼井隆志、プロジェクトマネージャーに夏川真里奈、XRファシリテーターに淺田史音、ゲスト講師としてSF作家の津久井五月さんとバーチャル建築家の番匠カンナさんをアサイン。「未来のメタバースの学校をつくる」をテーマに、3チームに分かれて、世界観の構築から具体的な学校のプラン構築、学校生活の検討を4日間に渡って進めました。

一歩先の学びを体験しているN/S高のための、さらに未来のメタバースの学校

N/S高等学校は、インターネットと通信制高校の制度を活用した新しい高校です。ICTツールを活用しオンラインで「好きな時に、好きな場所で学習」できる授業を実施しています。MIMIGURIとゲスト講師は、新しい環境にいる生徒たちが「さらに先のメタバースの学校を考えるとどんな未来を描くんだろう?」と想像を巡らせプログラムを構成しました。

生徒たちは、講師陣のフィードバックを受けながら、現実世界の再現ではなく、メタバースならではの風景を構築し、ゲームやアニメなどで体験してきた知識を生かしてVR空間を制作。2022年9月7日に行われた発表会では、ワークショップで制作された生徒たちのオリジナリティあふれる世界を披露しました。

4日間で「まだ見ぬ未来の学校のコンセプト」を作り上げた

最終日に「初日からは想像できないほど遠くまで来ることができた」と語ったのは番匠さん。津久井さんは「新しいものを創ったり新しい世界を創造するために、勢いのある分野からきっかけを掴むのは良い機会になる。まずメタバースから創作し、その先でもっと色んな方向に活動が広がることを期待しています」とコメントを寄せました。

チームAは、本が積み重なる“樹”のモチーフで「学んだ知識が積み重なっていく学校」を創作。螺旋の本に飛び乗れる世界を作りました。
チームBの「動けば動くほど学べる学校」 は、虫や小人の目線にもなれるというメタバースならではのアイディアから。
チームCは、現在の学校には自分を表現できる場所がないという気づきから「内面を対話する学校」を考えました。

各チームごとに、メタバースならではの視点や現在の学校への課題意識、何気ない遊びから三者三様のアイディアを生み、実際に目に見える世界を作り上げました。番匠さんは「身近な遊びやちょっとした気づきから、最終的には誰もが羨む学校のコンセプトが3つ揃った」と講評しました。

生徒たちのアイディアを触発し、メタバースならではの“学校”に落とし込むために。

CG制作を実施したことのない生徒が多くを占める中、独創的なアウトプットを作る工夫もありました。

ワークショップでは、生徒たちがオンラインホワイトボードで「妄想の世界」のアイディアを出し合い、VR内で直感的に操作できるプロトタイピングツール『ShapesXR』を用いて3Dモデルを制作。そして淺田が実装をサポートすることで、それらをVRChat上に配置し、生徒はアバターとして自分たちが作り出したものがどのような世界を作る可能性があるのか身体で感じながら妄想を膨らませました。これらの往復をすることで、ただ現実世界を置き換えるのではなく「メタバースならではの世界」を作り上げていきました。

アイディアを出し合ったボード

よりアイディアを刺激するために、例えば、本を巨大化してみたり、自販機を複製し重ねて階段のように置いてみたり、ピアノの鍵盤を歩けるようにして脚で演奏する想像を掻き立てたり、現実では有り得ない世界を作りました。これらMIMIGURIならではの遊びによって、思考と体験を繰り返し、新しい発想が触発される機会となりました。

生徒たちがメタバースとの関わりを通して、学校教育の新しい可能性を拓いていく姿をみることができました。さらなる創作活動が楽しみです。

(文:二宮みさき)

  • Project Owner

    臼井 隆志

  • Project Manager

    夏川 真里奈

  • XR Facilitator

    淺田 史音

  • バーチャル建築家

    番匠 カンナ

  • SF作家

    津久井 五月