「SmartHRらしさ」を問い直す。非同期ワークショップで、“遊び心”を宿らせたブランドを体現。
Point
- 採用課題の解決が、さらなる自社理解を兼ねるものに
- チャットならではの非同期“全社ワークショップ”を実施
- コーポレートビジュアルに全社員の遊び心を宿らせる
日本の労働力人口が減少を続ける現在、生産性向上は企業にとって喫緊の課題です。厚生労働省が2019年から推進している働き方改革では、テクノロジーやイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大と、働く人が意欲と能力を存分に発揮できる環境作りが求められています。
株式会社SmartHRによるクラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、2015年の提供開始以降、人事と労務分野の煩雑でアナログな業務をテクノロジーで合理化してきました。2021年7月には登録企業数が40,000社を超え、国内トップレベルのシェアを獲得しています。
「もっと、価値ある仕事に集中できるように」「生産性を高められるように」──社会にあふれる既成概念や慣習に立ち向かい、働くすべての人を後押しするプラットフォームへと拡大し続けるSmartHR。同社の創業から9年目を迎える2021年、事業が急成長する中で「より多くの仲間を見つけていきたい」「採用マッチング率をさらに向上させたい」という課題意識から、「SmartHRらしさ」を追求し伝えていく、MIMIGURIとの共創プロジェクトが始まりました。
「SmartHRらしさ」の問い直しが、採用課題の解決とさらなる自社理解を兼ねるものに。
同社のミッション「社会の非合理を、ハックする。」と実現のための7つのバリューは、社内では既に言語的に浸透していたものの、対外的なコミュニケーションの観点では、実際に社内に息づく「らしさ」がコンテンツやビジュアルで表現しきれていないという課題がありました。
それでは「SmartHRらしさ」とは何であるのか。MIMIGURIは多くの対話機会を設け、その問い直しを重ねた結果、「遊び心」が重要なファクターであることが導き出されました。そこで今回は、「SmartHRらしい“遊び心”」を社内から吸い上げる手法を採用。そうすることで、それ自体が自らを問い直す営みを兼ねるものになります。
場を閉じずに、チャットならではの非同期“全社ワークショップ”を実施する。
SmartHRとMIMIGURIは「SmartHRらしい“遊び心”」に問いを立て、社内に今まさに息づく「遊び心」を吸い上げるため、全社員を巻き込んだ非同期のワークショップを実施しました。同社では既にチャットでコミュニケーションが盛んであることから、場や参加者を限定する手法ではなく、全社員が参加できる開かれたチャットの場で「SmartHRらしい遊び心を感じた瞬間は?」という問いを投げかけました。
あっと言う間にたくさんの投稿とリアクションが集まり、MIMIGURIはそのスピードと遊び心にあふれる空気感に驚きながら、集まった投稿や会話、使用される絵文字などの雰囲気を元に同社の「らしさ」を象徴・体現するキーワードを構造化。「SmartHRらしい“遊び心”」を構成する言語のエッセンスを抽出しました。
言語から非言語への翻訳。コーポレートビジュアルに全社員の遊び心を宿らせる。
抽出した「遊び心」の言語エッセンスから、SmartHRとMIMIGURIはミッションと7つのバリューのビジュアライズを実施。視覚化における言語から非言語への“翻訳”の過程では、その意味が失われることがないように、静止画と動画のラフを起こしながら、あらゆるディティールについて何度も対話を重ねました。そうして生まれたのが、社会にあふれる非合理を解決に導く様を表現した3Dアニメーションによるストーリーでした。
MIMIGURIは、コーポレートサイトにおいてもビジュアルの世界観を踏襲するデザインとモーションを開発。3Dアニメーションと一体になることで、求職者が必要とする情報を適切に伝えながらも、「SmartHRらしさ」を非言語的な体感を持って訴求し、ブランドを体現しました。
「SmartHRらしさ」が宿るビジュアルが、まだ見ぬ新たな仲間まで届き、事業がさらなる発展を遂げていけるよう取り組んだ本プロジェクト。その願いが届いたかのように、新たなコーポレートサイトのローンチ直後は、SNS上でも多くのポジティブな反響をいただきました。
(取材・文:田口友紀子)
Consulting
吉田稔
Project Management
根本紘利
Workshop
淺田史音
Information Architect
田島一生
Art Direction
五味利浩
Web Design
永井大輔
Engineering
石山大輔
3DCG
小西芽衣(Generative Art Studio)
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