事業多角化で起きる課題と乗り越え方

Guest :
濱脇賢一コンサルタント
根本紘利プロジェクトマネージャー
  • 濱脇賢一

    コンサルタント

  • 根本紘利

    プロジェクトマネージャー

  • 筑波大学理工学数学類卒。大学在学中よりコンサルタントとして独立し、創業支援や事業計画の立案、広告戦略立案や地域ブランディングに従事する。また、長期でのBPRによる業務改善、中期での経営企画部・営業部へのハンズオンコンサルティングも経験。2018年より前身であるDONGURIに入社。現在、MIMIGURIにおけるコンサルティング事業の事業長を務め、経営コンサルティングや組織デザイン・ブランド戦略の策定などのプロジェクトオーナーも努め、幅広く企業・組織・事業の成長に伴走する。

  • ECコンサルティング業デザイナー→アパレル小売業Webマスター→在京民放テレビ局番組Webサイト制作・運用→地域商社プロジェクトマネージャー→Slerプロデューサーを経てMIMIGURI(旧DONGURI)に入社。 クライアントワークの開発プロジェクトにおける設計や進行に加え、組織開発・推進のプロジェクトに従事し、自社ではプロジェクトマネジメントの体系化と組織浸透を目指し、全社プロジェクト品質の底上げやアジャイル推進を進めている。

  • MIMIGURIでは組織コンサルティングを通じて、センシティブな経営課題に数多く向き合っている。事例として開示しにくい情報も多いが、このポッドキャストでできるだけ汎用化してナレッジシェアしたい。
  • 第13回は、濱脇賢一、根本綋利の2名とともに「事業多角化で起きる課題と乗り越え方」について考える。

2種類の事業多角化と、4つの観点

  • 事業多角化は、「関連多角化」と「非関連多角化」の2つに分けられる。
  • 多角化をするときには、組織設計、事業設計、文化開発、人材開発の4つの観点をもち推進する必要がある。
  • 一般に、これら4つの観点で選択と集中を行い、組織を統合したり、特定の市場に集中したりしてバランスをとることがあるが、MIMIGURIではできるだけ変数を減らさずにシナジー生み出すことで、価値創造することを目指している。

組織設計、事業設計面での乗り越え方

  • 組織・事業設計においては、非関連多角化の場合、市場的なシナジーがないので、組織の遠心力を効かせるために自律分散的な組織を志向するとよい。
  • 一方で関連多角化の場合は、一つひとつの事業ユニットとそれを統制する本部を作るやり方で求心力を効かせると、事業間のシナジーが生みやすくなる。

文化開発面は、組織・事業設計と逆方向でバランスをとる

  • 文化開発においては、非関連多角化の場合、経営層がコミットメントを宣言し求心力を集めるのがよい。組織の遠心力が効きすぎるあまり、現場が経営から相手にされていないという疑念が生まれる恐れがあるからだ。
  • 関連多角化の場合は、各責任者や職能に任せ、遠心力効かせるやり方がよい。
  • 単一事業の場合は、組織・事業設計と文化づくりを同じベクトルで行うのが基本だが、事業多角化の際は、組織設計と文化開発が別の方向を向いていると、求心力と遠心力のバランスが保ちやすくなる。

人材開発は多角化初期に取り組む

  • 事業多角化の初期課題として、注目したいのが人材育成の観点だ。
  • 事業が多角化すると、各事業の責任を全うする縦の力学が強まり、事業横断で情報連携したり課題のボールひろう意識が薄れがちになる。また、課題があふれて妥当な優先順位づけや意思決定ができなくなり、課題が膨らみ続けるネガティブなループに陥ることもある。
  • 組織オーナーが適切な意思決定をできるようにするため、情報可視化や課題整理を行う組織ファシリテーターの役割が重要になる。
  • 一般にはミドルマネジメントやエグゼクティブ層がクローズドな場で属人的に課題を潰しがちだが、パスネットワークや専門組織を初期に作っておけるとよい。
  • 単一事業の場合は矛盾を消し込むことが正義だが、事業多角化すると矛盾は消えないのが難しいところ。ミクロでの最大化とマクロでの最適化を目指し、矛盾に向き合える組織をつくることが重要だ。


収録後、ミナベが作成した図