組織の“重心”を調節する経営の勘所(前編)

Guest :
安斎勇樹代表取締役Co-CEO
  • 安斎勇樹

    代表取締役Co-CEO

  • 1985年生まれ。東京都出身。東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。研究と実践を架橋させながら、人と組織の創造性を高めるファシリテーションの方法論について研究している。組織イノベーションの知を耕すウェブメディア「CULTIBASE」編集長を務める。主な著書に『問いのデザイン-創造的対話のファシリテーション』(共著・学芸出版社)『リサーチ・ドリブン・イノベーション-「問い」を起点にアイデアを探究する』(共著・翔泳社)『ワークショップデザイン論-創ることで学ぶ』(共著・慶応義塾大学出版会)『協創の場のデザイン-ワークショップで企業と地域が変わる』(藝術学舎)がある。

  • このポッドキャストでは、株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEOであるミナベトモミをファシリテーターとして、MIMIGURIのメンバーやマネージャーをゲストに迎えて普段の業務やキャリアについてディスカッションしていきます。
  • 第8回のゲストは、MIMIGURI代表取締役Co-CEOである安斎勇樹です。

MIMIGURIとして、初めての半期総会を終えて

  • 経営統合から半年が経ち、先日はMIMIGURIとして初めての半期総会が行われた。
  • MimicryDesign時代はどこか恥ずかしくてやったことがなかったアワードも、「やってみたら最高だった」という安斎。考えてみれば、大人になると表彰する機会もされる機会もない上に、あらたまって感謝を伝え合う場も少ない。だからこそ、アワードのような機会は大切だとミナベも語る。

「組織の重心を、もう数センチだけ上げたい」

  • 合併により、それぞれ20人程度から一気に50人に迫る規模になったMIMIGURI。一度CULTIBASE Radioでも取り上げたように、当初は、全体会でのメッセージが思いもよらない方向に捉えられたりなど、ハンドリングの難易度が上がったように感じたと安斎は語る。
  • 一方、安斎とミナベが共有していた感覚が、“組織の重心”だ。組織の目線には「個人目線/チーム目線/チーム間の目線/組織・事業目線」という4つのレイヤーがあり、「今は、個人目線とチーム目線の間くらいに重心が下がってしまっている。もう数センチだけ重心を上げたい。」など、抽象的だが確かな感覚を憶えることが度々あったという。
  • 合併直後は「MIMIGURIではどの方向に力学が働いているのか」という、場の流れが捉えづらくなる。重心を調整することは、この力学を明確化し、メンバーにとって乗りやすい流れを作る役割を果たしたと言えるかもしれない。

「問い」で重心を調節する

  • ただ、安斎もミナベも、「こうしてください」などと直接的な方向性をフィードバックしたのではなく、ひたすら問いを投げ続けることに終始していた。
  • 組織の重心調整は、ワークショップと同様に、人の学習を起点としたアジャイルなサイクルを回すことが重要だ。そのために安斎とミナベはあくまでも問いを投げることに徹し、それに影響を受けて、メンバー1人1人が学習・対話し、新たな意味づけを獲得するという学習の流れが生まれることを期待したのだ。これは、CULTIBASEでも以前から取り上げている「組織ファシリテーション」の1つのかたちとも言えるかもしれない。
  • MIMIGURIが経験しているのは、硬い言葉で言えば「企業統合のPMI(Post Merger Integration)」だということになる。このプロセスでは、大量離職者が出たり事業がうまく回らなくなったりと、大きく荒れてしまう企業もあるなかで、MIMIGURIでは「統合前よりも企業文化が厚みを増したように感じる」と言うミナベ。後編では、この厚みが生まれるまでに乗り越えた葛藤について取り上げる。