「結婚って、なんだろう?」ブランド価値の理解を深める、ウエディングパークのワークショップデザイン。

  • 濱脇賢一

    戦略モデリスト

  • 田島一生

    コミュニケーションプランナー

  • 大久保潤也

    コンセプトプランナー

  • 筑波大学理工学数学類卒。大学在学中よりコンサルタントとして独立し、創業支援や事業計画の立案、広告戦略立案や地域ブランディングに従事する。また、長期での大手製造業内にてBPRによる業務改善、中期での経営企画部・営業部へのハンズオンコンサルティングも経験。2018年よりDONGURIに入社。

  • 制作会社のデザイナー・ディレクターを経て、博報堂で多くのマス・デジタル統合プロモーションを担当。DONGURIではプロデューサー兼プランナーとして、ブランドと人をつなぐためのコミュニケーションプランを考えている。

  • 2005年ソニーミュージックから“アナ”でデビュー。2014年からコピーライターとしてDONGURIに参加。クリエイティブディレクターとしてブランディングやPR案件を担当。2017年には作詞やプロデュースを手がけるアイドルグループ“lyrical school”の楽曲が2曲連続でオリコンチャート1位を獲得。エンターテインメント性のある企画設計、ブランドコンセプトや企業のメッセージ開発に多く携わる。

価値観が多様化する社会のなかで、 結婚に対する意識や考え方が変化してきています。

株式会社ウエディングパークは、結婚式場やウエディングフォトスタジオ、婚礼衣装や結婚指輪選びなどのクチコミサイトを運営しながらも「結婚あした研究所」というオウンドメディアを立ち上げ、結婚式を挙げない「ナシ婚」や、結婚しない意志選択も肯定するなど多様化する価値観を様々な形で取り上げています。

2019年の夏に実施した、「わたしにとって、『結婚』って?」というワークショップでは未婚既婚を問わず集まった11人の女性が、結婚についてのそれぞれの考え方をディスカッション。

その模様が動画やグラフィックレコーディングで公開されると、十人十色な価値観のあり方が多くの共感を集め、話題になりました。

今回は、そのワークショップのプロジェクトについてウエディングパークと、共に取り組んだDONGURIのメンバーにインタビュー。

プロジェクト成功の裏側には、理念への深い共感から生まれる垣根を超えたチームワークがありました。

結婚を「誰かと共に生きることを選択する」という意思として、広義に捉える。

ウエディングパークさんは結婚式場などの口コミを扱う事業ですが、自社のメディア「結婚あした研究所」では、なぜ「ナシ婚」の話題なども肯定的に扱っているのでしょうか。

菊地昨今いろんなメディアで取り上げられているように、かつて「結婚はするのが当然」という価値観が主流だったところから、現在「結婚は個人が選択する時代」に変化し、結婚式も自分たちらしい形へ、場所や形式、かける時間などを含めて、カップルそれぞれが自由に考えられるようになってきています。価値観が多様化しているなかで、「結婚を、もっと幸せにしよう。」を経営理念にしているウエディングパークが、「結婚」にかかわるすべての方をもっとサポートできることはないかなという思いで立ち上げたのが、「結婚あした研究所」でした。結婚に興味のある方や結婚している方だけではなく、結婚関連の仕事をされている方向けの情報も発信しています。

株式会社ウエディングパーク 経営本部 広報・宣伝マネージャー 菊地亜希さん

ウエディングを事業としながらも、多様化する価値観を肯定していくというのは、チャレンジングな試みのように思えます。

菊地私たちとしては、あくまでも「結婚を、もっと幸せにしよう。」という経営理念に基づいているだけなんです。誰かと結婚に至るまでの過程も結婚生活も、幸せなことだけでなく、大変なこともあるのが自然です。「結婚」に関するすべてを追求して、「幸せな結婚とは何か?」を考え続けることが経営理念を真に実現するためには大切なのではないかと思っています。今回行ったワークショップは、「結婚あした研究所」で新しく立ち上げたコミュニティプロジェクト「#ふたりのカタチ」の取り組みの一貫でした。このプロジェクトでは、結婚を「誰かと共に生きることを選択する」という意思の表れとして広義に捉えています。

「#ふたりのカタチ」では、SNSでの投稿キャンペーンなどを通じて、さまざまな関係のあり方を紹介していますね。

菊地このコミュニティは、“誰かと共に生きる毎日のカタチ=「ふたりのカタチ」を、楽しく、素敵に、幸せにしようとしている方々を応援する”がコンセプトです。このコンセプトを実現するために、身近なカップルの事例を紹介していきたいと思い、SNSでエピソードを投稿してもらって記事化する、オンライン上のコミュニティとしてスタートしました。でも、いつかセミナーやワークショップのような、オフラインの企画もやりたいと思っていて。

瀬川ちょうどDONGURIさんにブランディングのご相談をしているなかで、ワークショップの事例を紹介いただいたんですね。「#ふたりのカタチ」を立ち上げて間もないときで、コミュニティのコンセプトを伝えていくっていう意味でもタイミング的にちょうどよくて。動画とSNSを活用してもっと多くの人に知ってもらいたい、というところから、ワークショップを動画化するプロジェクトが動き始めました。

株式会社ウエディングパーク 経営本部 広報・宣伝 「結婚あした研究所」企画編集 瀬川由絵さん

今回のワークショップは「わたしにとって『結婚』って?」というテーマでした。当日はどんなことを行ったのでしょうか。

菊地パートナーがいる人いない人、結婚してる人してない人、合計11名の方に参加していただきました。2つのグループに分かれて、自己紹介をした上でまずは自分の人生を振り返ってもらって。結婚している方は出会いから結婚生活までの気持ちのアップダウンを折れ線グラフで書いてもらって。結婚していない方にも、これまでの人生で気持ちが変化したタイミングや、理想の出会い・結婚生活などをそれぞれ書いてもらい、グループでシェアし合いました。過去悩んでいたこととか、パートナーにして欲しかったこととか。既婚の方だと「プロポーズをちゃんとして欲しかった」という声が結構ありましたね。

瀬川その後は日常生活を過ごすなかでご自身が幸せに感じていることを書き出してもらいました。パートナーが仕事帰りに大好きなアイスを買ってきてくれて、それを一緒に食べるお話や、お笑い番組を見て笑うタイミングが同じというお話など、こちら側も聞いてて幸せになるような答えがたくさんありましたね。そして、最後に「わたしにとって『結婚』って?」っていう本題に入っていきました。

菊地ワークショップの一連の流れを通して内省していただくような感じですね。「自分自身がどう生きたいか」と「結婚に対して求めるもの」って結構リンクしているので。自分にとって幸せが何かを理解することが、幸せな結婚に繋がっていくというか。

このテーマはどのように決まっていったのでしょうか?

瀬川DONGURIさんのファシリテートで、アイディア出しをしていくなかで決まっていきましたね。

濱脇最初に、人が結婚する前とした後で、どういう変容があるかっていうのを可視化してみたんです。結婚式や結婚後の情報って、結婚したことがない人にとっては接点がなくて。友達の結婚式に行ったことがあっても、自分のことがわからないというか。その情報の非対称性が結婚の意思決定の妨げになるのは良くないので、解消するためにも具体的に明かして、世の中に出していくというウエディングパークさんの事業はすごく有意義だと思っていて。

株式会社DONGURI 戦略モデリスト濱脇 賢一

濱脇「結婚は良いものだから、幸せなことだから結婚するべきだ」とかではなくて、こういう幸せな瞬間はあるんだけど、するもしないも自分の幸福観に合うかどうかで決めるのがいいね、みたいな。

田島ウエディングの事業をしている人たちがそういうふうに言えるのってすごくいいなって思うんですよね。

濱脇それ、すごいわかる。

田島そのスタンス自体がいいですよね。

濱脇プロジェクトのキックオフのときにすごいなと思ったのは、そもそもビジネスモデルがそうなんですよ。口コミがあるから、初めての結婚式場へも足を運べるというか。既婚者と未婚者にある情報の非対称性を解消して、みんながより幸福になっていくっていう。ビジネスモデルとやろうとしていることが一致していて、社会的に意義があることになっている。これにとても感動したんですよね。

田島確かに。

濱脇なので、「結婚を、もっと幸せにしよう。」という経営理念を、結婚する人にも、結婚するかどうかわからない人にも伝えるためにはどうすればいいか、って考えていきました。

菊地結婚って何がいいんだっけ、みたいなことをこのメンバーで話しましたよね。そのなかで印象的だったのが、濱脇さんの「お味噌汁」発言(笑)。

お味噌汁、ですか?

濱脇そうそう(笑)。結婚を決めた瞬間、意識した瞬間の話題で。プロポーズするときに「お味噌汁作ってください」って言うんですか? 毎朝作ってもらうお味噌汁に、結婚の良さを感じるんですか? って聞いたら、「いや、別に」って(笑)。このプロジェクトのメンバーで結婚したことないのが僕と大久保だけだから、なんでそんなに結婚が当たり前なの?って違和感がすごくて。結婚って何なんですか? 何がいいんですか? っていうのをいっぱい質問しましたね。

企画側に既婚・未婚の両方の視点があることで、フラットな目線で考えられたんですね。

濱脇僕とか本当に結婚がわからないから、自然にたくさん質問が出てきて。ファシリテートさせていただきながら、発見だらけで楽しかったですね。男女の結婚後の生活の考え方もまるで違うとか、結婚しない理由もすごい差があるというか。

“作り物”にしない。生の声だけの一発勝負で「伝わる動画」を作る。

そのときの発見をもとに、ワークショップを設計されていったのでしょうか。

田島ワークショップありきっていうよりは、アウトプットありきで設計していったところがありましたね。ウエディングパークさんがPR上手っていうところもあるので。

大久保ワークショップはやるんですけど、最終的に動画にして、「#ふたりのカタチ」のメッセージだったり、ウエディングパークさんの活動とか思いだったりが当日の参加者以外の人にも届くようにしたいっていうのがあって。最終的なアウトプットは動画っていうのを考えた上でワークショップを設計していくのが肝というか、難しいところでもあったんですよね。

濱脇動画制作のプランニングと、ブランディングの観点からのワークショップの設計を同時進行で進めて、間でぶつかる点を探していきましたね。

大久保ワークショップを動画で撮影して、いい感じの音楽つけて公開する、っていうのだと、単なる記録ムービーになっちゃうんですよね。参加者とか関係者は喜んでくれるんですけど、その場にいなかった人には何も響かないってなりがちなので。あくまで「最終的に何を伝えるか」っていうのを考えて設計していきました。

株式会社DONGURI コピーライター 大久保 潤也

制作とブランディングの間で“ぶつかる点”を探していくにあたって、どのようなことを大事にしたのでしょうか。

濱脇3つ挙げるとしたら、1つ目は当日の参加者に本当に楽しんでもらうことですね。その場でいろんなことを感じてもらって、作り物じゃなくリアルな盛り上がりを作りたかったっていうのがあります。2つ目は、動画にしたときにその場にいなかった人にも伝わる内容であるか。3つ目が、そのときのワークショップで出た内容がウエディングパークさんで後々活用されていくものであるかっていうところですね。今挙げた3つのどれにも振り切ってないっていうのが、大久保の言う難しさなのかなって思います。リサーチでもないし記録ムービーでもない、バズムービーでもない。菊地さんも瀬川さんも「嘘をつきたくない」って言っていたので、そのバランスはすごく大事にしました。

大久保動画制作でよくあるのは、しっかり絵コンテを作って、参加者の方に協力してもらいながら、なるべく自然な形でこちらが想定した言葉や表情をコンテに沿って撮影していくっていうのが一般的なんですよね。今回はそうじゃなくて、参加者の方には自由にワークショップを楽しんでもらって、撮影した動画ではしっかりと伝えること伝えなきゃいけないっていうのが、難しかったところですね。最初は結構ほんとに「できるわけない」くらいに思ってました(笑)。

濱脇クリエイティブの観点で言うと、難しい作り方なんですよね。中途半端になりそうで。

そうなると、「当日にならないとわからない」要素がたくさんあったんじゃないかなと思います。事前の絵コンテはどうやって作ったのでしょうか?

大久保メッセージの趣旨として「#ふたりのカタチ」って、いろんな関係性のあり方を肯定するっていうものなので、最終的に、結婚ってこうです! っていう1個の答えが出ないものの方がいいと思ってて。映像としては最後に参加した人みんながそれぞれの答えを出して、十人十色っていう見え方にしたいとは考えていました。実際そこで何が発話されるかは当日にならないとわからないけど、こういうテーマで話してもらって、おそらくこういう答えが何パターンか出て来て、みたいなのを想像しながら絵コンテを描いていきました。「この人とこの人を撮るけど、何を言うかはわからない」みたいな、あくまで架空のコンテにして。それが難しかったところですね。


「ワークショップ編」の動画で、最後に皆さんの笑顔とそれぞれの答えが流れるシーンがとても印象的でした。

大久保実際にワークショップ後に撮影したんですが、長時間のワーク後なのに本当に皆さんいい笑顔でした。それぞれの結婚に対する考えや答えを映像として残すときに、背景がみんな一緒だと多様性が伝わりづらいなと思ったので、画をなるべく変えたいというのがあって。近場で背景のパターンをいくつも探してっていうのもやりましたね。

ちなみに、当日の参加者はどう募集したんですか?

菊地プロジェクトメンバーの知人経由で、直接お声がけをさせていただきました。「#ふたりのカタチ」の立ち上げから間もないときで、ワークショップも初回だったっていうのもあって、すべて私や瀬川からご説明して、ご理解いただいた上で参加していただく必要があると思ったんです。

瀬川立ち上げた本人が直接お会いして、こういう目的でこういう世界観でやりたいっていうことを説明することによって、安心して楽しんで参加してもらえたかなって。

菊地「結婚ってどうですか?」って急に聞かれても、答えにくいですよね。かなり個人的なことをご質問しますし、不安に思っていることがあったら直接伺って、その場でお答えしたり、ワークショップ内容に反映したりするようにしていました。

濱脇参加者への事前のインタビューは僕も参加させていただいていたので、あの方のあの話は掘り下げられるんじゃないかとか、ディスカッションして。デスクリサーチとかじゃなくて、本当に生のインタビューから取っているので、絶対良いものになるっていう確信はあったんですよね。

「#ふたりのカタチ」テーマソングが生まれた、意外な経緯。

一人ひとりの言葉に耳を傾けた上で企画されていったんですね。事前の準備や当日の進行などは、二社間でどのような分担で進めて行ったのでしょうか?

田島プロジェクト全体を通して、DONGURIからウエディングパークさんに一方的にプレゼンする、みたいなことはほとんどしていません。全部一緒に作り上げていった感じなんですよね。例えば当日の香盤表ですら、ドラフトだけ準備して、その場で一緒に議論しながら作っていきました。

株式会社DONGURI コミュニケーションプランナー 田島一生

菊地楽しかったですよね。当日は、社内外とか関係なく、お互い「ここに来てください」「あっちをお願いします」、みたいな。コンセプト作りから当日まで、チームみんなで連携したっていう感じでしたね。

濱脇ラグビーワールドカップみたいな(笑)。

菊地そうそう。ONE TEAM ってやつですね(笑)。

理想的なチームワークですね! あと、当日にはグラフィックレコーディングも取り入れていましたよね。

田島はい。僕たちからお話してみたら、瀬川さんにすごく良いって言っていただいて。

瀬川やっぱり視覚でリアルタイムに残していくことで、参加者にも楽しんでもらえますし。絶対やりたいです!って菊地に言ったのを覚えてます。

田島リアルタイムの良さを活かせるシンボリックなものがグラレコになるんじゃないかなって思ってたので。あとは本当に、瀬川さんがおっしゃるように、当日も現場でそれを見て、参加者の方も盛り上がってくれてましたね。

絵があると、やはり違いましたか?

瀬川違いました。この人がこういう発言をしましたっていうのを、参加者のそっくりな似顔絵と一緒に描いてくださって。それを皆さんが写真に撮ったり、パートナーに送ったりしていたのが印象的でした。

公開されたグラレコ。プライバシーに配慮し、新たにプレスリリース用のものを制作したのだそう。

合わせて公開されたムービーについては3パターンに分けて公開されていましたが、どのようなプランニングだったのでしょうか。

田島配信回数を分けて、何回も山を作るPR設計を考えていました。

濱脇このプロジェクトに接してほしい方のペルソナと、フリークエンシーを最初に試算したときに、3回は必要っていうお話になっていきましたね。

実際に公開したあとの反響はどうでしたか?

菊地動画自体が「#ふたりのカタチ」の世界観がすごく伝わるものになったので、その世界観とか、それのベースになっている経営理念が伝わっているのを感じましたね。「すごく良いプロジェクトだね」という声を多くいただきました。

瀬川あと、ただ動画を配信するだけじゃなくて、トータルでのコミュニケーションに今回チャレンジしていてですね。動画を3回にわたって公開するのと合わせて、「#ふたりのカタチ」の投稿キャンペーンも「結婚あした研究所」でやりました。他にも、ワークショップでお話いただいた実際のエピソードを元に、漫画家さんに「#ふたりのカタチ」で漫画を描いてもらって、それをサイトや公式Twitterで紹介したり、今回の企画の背景を菊地がnoteに書いたり、「#ふたりのカタチ」が多角的に、いろんなところで出るように工夫はしました。

瀬川「個人的にも素敵だなと思ったエピソードは、漫画でも取り上げてもらいました」

濱脇「良い動画だね」っていう終わり方は、ブランディングの観点で言うと正しいんですけど。ワークショップで出た内容を、他のコンテンツにぜひ活かしてほしいというのは、僕たちの方からもご相談していましたね。

田島ワークショップだけで終わらせたくないっていうのは当初からお話をしていました。その場で生まれたものが、新しいコンテンツのヒントになったりとか。あとは社内的にも、エンドユーザーとの関わりっていうのは大きなきっかけになるでしょうし。そういう取り組みをやってる、ユーザーと共創してるっていうことがウエディングパークさんのエンドクライアント側にも伝わっていけば、いろんな方向に良い作用をもたらしていけるんじゃないかなって。

プロジェクト単体として成功させるだけでなく、次に繋げる、広げていくということが前提だったんですね。あと、お聞きしたいのが動画で流れているテーマソング! この曲はどうやって生まれたのでしょうか?

大久保あれは実は、プロジェクトとして依頼があったとかではなくて。

濱脇裏でこっそり進めてたんですよね。

大久保映像を作るにあたって、当日に何が発言されるかが見えない状態のまま進めていくので、場合によっては台詞を使えるかもわからない状況なんですよね。なので、基本的に音楽がずっと流れるムービーにはなるだろうなって思っていて。それでまあ、あの。僕は曲作れるし、歌えるので(笑)。

菊地素晴らしい! 最高です。

瀬川いやー、さすがです。

大久保一般的には、こういう映像はなかなか音楽先行で作らないと思うんですよね。映像がある程度イメージできて、音楽制作担当がそれにあった音楽を作るとか、探してくることが多くて。僕の場合は音楽ありきで映像ディレクションを考えたほうがイメージが湧きやすいんですよね。「ふたりのカタチ」っていうワードが結構キャッチーなので、特にその言葉を届けたいっていう思いもあって。最後にみんながそれぞれの思いを発表しているシーンで、「ふたりのカタチ〜」っていうコーラスが重なって一個のハーモニーになって、エンディングに向かうっていう流れが、なんかもう“見えた”んですよね。

音楽制作にあたって、事前にデモを作ったり、そういうやりとりはあったんですか?

大久保いや、もう突然に。映像になった時点で初めてお披露目です。

え、じゃあ突然曲が付けられて?

菊地そう、そうなんですよ(笑)。

瀬川本当にびっくりしました(笑)。

菊地「瀬川と一緒に動画を再生したら、『ふたりのカタチって歌ってる〜!』って(笑)」

すごい! 素敵なサプライズですね!

大久保今思えば、音楽作るにしても「歌う」って結構ありえなくないですか? 自分で歌うの? っていう(笑)。

瀬川でも、10%くらい期待してましたよね。

菊地そうそう。なんか、大久保さん作ってくれないかなって(笑)。まさか本当に作ってもらえるとは思ってなかったですけど。

濱脇DONGURIの社内的にも作って欲しかったので、ウエディングパークさんに音楽作ること教えていいですかって大久保に言ったら、言うな、と(笑)。

大久保いや、その時は撮影のことでいっぱいで本当に作れるかわからなかったので(笑)。最終的には、企画の趣旨的にも男性と女性の声があったほうがいいなと思ったので、同世代の女性のボーカリストに手伝ってもらってレコーディングして。アレンジを知り合いのプロデューサーにお願いしたり、かなりこだわって作れました。

これは嬉しいですよね!社内的にも、驚いた方が多かったのではないでしょうか。

菊地そうなんですよ。「え? 曲作ったんですか?」って。「そう、作ってくれたのー!」って、アナ(大内篤・大久保潤也による音楽ユニット)の曲をYouTubeとSpotifyで社内メンバーに送るっていう(笑)。私の2019年のSpotify Wrapped(「1年で最もよく聴いた曲」が自動でプレイリスト化されるサービス)、5曲くらいアナの曲が入ってます。

「#ふたりのカタチ」のイメージにも、動画にもぴったり合う音楽だったので、まさかサプライズとは思いませんでした。

菊地感激でした。

濱脇音楽作るのも簡単じゃないのに、サプライズでやるっていうのはすごいなあって同じチームながら思いましたね。

大久保やっぱりずっと、今話してたみたいに、チームで……あ、ONE TEAMでやってたんで(笑)。

菊地ONE TEAM、強調していきましょう(笑)。

大久保関係性もよかったので提案しやすかったんですよね。もし完全にクライアントと制作側っていう状態だとなんか、僕本人が歌ってる音源をいきなり出すと、「私欲を入れてきたな」って感じになるんじゃないかなと(笑)。

菊地そんなことないですけど(笑)。

濱脇まあでも、確かにね。言えてるかもね。

信頼関係があってこそ、だったんですね。

大久保そうですね。僕も、喜んでもらいたかったし。

菊地本当にありがとうございます!

これからも「結婚を、もっと幸せに」していくために。

今回のプロジェクト全体を振り返って、実施した後にはどういう変化がありましたか?

菊地以前はどちらかというと、事業やサービスの紹介とかPRっていうのが多かったんですね。すべての事業が「結婚を、もっと幸せにしよう。」っていう経営理念から派生してやっていることなんですけど、経営理念そのものを全面に押し出したPRをここまで大々的にやったことはなかったんです。でも2019年に創業20周年を迎えて、事業も複数ある状態になってきている今、ウエディングパークがどういう考えでそれぞれの事業やサービスをやっているのかっていう、つまり経営理念からお伝えしていくっていうことの大切さ、手応えっていうか。すごく意味のあることなんだなってあらためて感じました。あとは当日の参加者含め、反応がすごくポジティブだったんですよね。もちろん、結婚は今、個人の選択のひとつであって、する人もしない人もいて良いと思ってるんですけど、「やっぱり誰かと生きるのっていいかも」ってちょっと思えたんじゃないかなって。

公式キャラクターの「ウエパちゃん」。結婚が気になり始めた人だけに見える妖精なのだそう。

瀬川このワークショップをパートナーと一緒にやりたい、今日あったことをパートナーに全部共有します、っていう感想もいただきましたね。

菊地「パートナーと話すいいきっかけになりました」とか、既婚の方も「今まで考えたことなかったので、私ってこういうことを思いながら決めたんだなってわかりました」とか。結婚の多様性が叫ばれていながらも、「結婚」についてリアルに考えていくと、実のところは、いろんな世間の目とかに振り回されてちょっと心が傷んだりとか、私もこうしなきゃいけないのかなって思ったりすることって多分あると思うんですけど。そういうときに「私は私だから、私のカタチだから」って思えたらいいなっていうのはすごく思ってたんですよね。うちのカタチ、私のカタチ、「ふたりのカタチ」って思っていただいたのは、すごく良かったなって。

田島事前に旦那さんと結婚について話してきたっていう方もいらっしゃいましたね。幸せってなんだっけ、みたいな話をしてきたっていう。その時点で、最高だなって思いましたね。結婚とか幸せって、人と話す機会があんまりないんですよね。人によってはセンシティブな内容だったりもするので。オープンにみんなで話せてよかった、っていう声もあって、コミュニティの場を作っている感じがすごくありました。

菊地ワークショップ後のランチとか待機場所とかで、参加者の皆さんが初めて会った方同士なのに、あなたのところはどうなんですかとか、プライベートな話で盛り上がっていたらしくて。

濱脇「次またあるんだったら参加したいです」っていう声もいただきましたね。あと事後アンケートで、推奨意向と参加満足度が高かったんですよね。ほぼ100%。

すごい。本当にコミュニティとして場作りがされていたんですね。

大久保あと僕自身にも変化があって。独身でいると「まだ結婚してないの?」っていうステレオタイプな目を向けられてるんじゃないかって、ずっと思ってたんですよ。でも、今回いろんな人の結婚に対する価値観の違いを肌で感じられて。なんかちょっと解放された感じもあります。

菊地考える機会ないですもんね、なかなか。誰も結婚の仕方とか教えてくれないし、なんとなく恋愛の延長に結婚があると思ってたり。私もこの仕事してなかったら意外とここまで考える機会はなかったかもしれないなって。でも考えをまとめることで、やっぱり「私の幸せはこれ」って思えるようになったから、それをワークショップで経験してもらえたなら良かったなと思いますね。

とても素敵なことだと思います。最後に、これから新しく挑戦していきたいことを教えてください。

菊池「結婚を、もっと幸せにしよう。」を実現するために、「幸せな結婚」についての追及は強化していきたいって考えていて。2月から「#結婚はこのままでいいのか」プロジェクトという新しい取り組みをスタートします。結婚の法制度のことや出会い、結婚生活とか、「結婚」のリアルな良い点・課題点について日本全国の皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。もちろん、答えはこれです! って明確に出るわけじゃないんですけど。たくさんの方々に考えるきっかけと、ともに考える場をご提供して、「結婚を、もっと幸せにしよう。」に一歩一歩近づいていきたいと思っています。


『結婚は、誰かと共に生きることの選択である』。

結婚の定義を、広義に捉え直した「#ふたりのカタチ」プロジェクトには、DONGURIのメンバーはもちろん、フォロワーを含む多くの人々の深い共感が集まっていました。

価値観が多様化し、変わりゆく社会のなかで、真の幸福を追求するウエディングパークが、どのような問いかけを繰り広げていくのか。

これから、ますます目が離せません。

  • Writer

    田口友紀子

  • Photographer

    永井大輔