8,000人規模の組織開発。IHI空領域でのHRBPチーム体制強化と、製造業におけるウェルビーイング推進活動。

株式会社IHIの航空・宇宙・防衛領域(以降、IHI空領域)では、航空エンジン、ロケットシステム・宇宙利用、防衛機器システムなどを手がけ、航空エンジンのリーディングカンパニーとして空の交通を支えてきました。一方で今後を取り巻く事業環境は、現副社長の盛田英夫氏曰く「答えまでの距離が遠くなっている」と言います。中長期的に、不確定な変化にも耐える組織を目指し、MIMIGURIとIHI空領域では、HRBP体制の整備と強化、並びにエンゲージメントの高い組織づくりに向けた現場での対話活動を進めてきました。

PROBLEM

IHIは造船事業から始まり、2023年12月に創業170年を迎えました。現在では「資源・エネルギー・環境」「社会基盤」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」という4分野に多角化した日本を代表する重工業企業です。全社をあげて人的資本を重視した経営を志向しています。空領域においては、人的資本・組織に目を向けていく中で、現場のエンゲージメントの改善余地に気がつきます。一方で、IHI空領域ではグループ企業も含めておよそ8,000人が在籍しており、多拠点に展開しています。そこで、各拠点を支えるHRBPチームの機能やケイパビリティの強化。並びに、工場現場におけるエンゲージメントを探索しにいくべく、現場での対話活動を開始いたしました。

APPROACH

多拠点に点在する人事関係者とHRBP”チーム”を作る。「HRBP研修」の実施。

2022年度より工場人事を「HRBP」の呼称に変更。従来の人事機能は、より事業・現場の状態にあわせた「組織の専門家」としての機能が求められるようになってきていました。一方で、従来業務の多忙さもあり、事業や領域を俯瞰した目で組織づくりについて考える機会は多くありませんでした。加えて、拠点や属人的には知見が蓄積されていたものの、全国の工場毎にHRBPが点在していたことから、知見が分断される構造になっていました。

そこで、IHI空領域とMIMIGURIでは、月次でのHRBP研修を企画。MIMIGURIの持つ組織づくりの研究・実践知を話題提供していきました。ただし、組織づくりの「正解」を学ぶわけではなく、参加者同士で「IHI空領域における組織づくりとは」「そもそもHRBPとは」といった論点を対話しながら、IHI空領域ならではの組織づくりにおける知見を創出していきました。また、その活動を通じて、拠点・工場を超えて共に組織づくりに向かう「学習共同体」の関係性が生まれていきました。

研修の中では、現副社長の盛田英夫氏にもお越しいただき、IHI空領域を取り巻く事業環境を話題提供いただきました。その中で「答えまでの距離が遠くなっている事業環境下でどう組織づくりをするべきか?」という問いがHRBPチームの中に生まれていったのが特徴的な出来事でした。

製造業・工場現場におけるウェルビーイングとは。現場リサーチと対話の場づくりを実施。

IHI空領域では、人的資本・ウェルビーイングな組織づくりを重視する背景から、2022年度より組織内で「対話」を促す社内活動(ウェルワン対話)が開始されていました。一方で、さまざまな対話施策を試行錯誤したからこその副作用として、組織に目を向ける必要性、対話の重要性については組織やチーム、リーダーによっても温度感が異なっていました。

IHI空領域とMIMIGURIでは、各工場にお伺いし現場の状況についてリサーチ活動を実施。現場における組織状態や対話活動についての各現場からの見え方について理解を深めていきました。その上で、現場での対話活動を推進するリーダーに対して、研修プログラムを企画。22年度に掲げた「対話」というキーワードを入り口としつつも、チームの人間関係やコミュニケーションについて見つめ直す機会を作っていきました。

参加者からの声としては、「工場では日常的・家族的なコミュニケーション量は多かったものの、仕事の意味・今後の工場組織のあり方など、一歩踏み込んだテーマでの対話は少なかった」という声や、「価値観をお互いにシェアする中で、雰囲気がよくなった」という声もあがりました。

RESULT

HRBPにおいては、どうしても普段の仕事では工場現場の視座になりがちなところ、組織全体の視座で考え、知見を創出する機会につながっていきました。また、工場・拠点を超えてHRBP・組織づくりを探索する共同体が生まれました。また、現場へのリサーチや対話活動では、家族のような繋がりを”維持”しながらも、新たな技術進歩や市場動向に向けて”変わっていく”ための対話をいかにしていくべきか、という新たな問いに向き合い始めています。

今後は、領域経営層の皆様との会議体・コミュニティの立ち上げ、HRBPを主軸としたミドルマネジメント層の支援(拠点・部門運営支援)、現場での職場づくり活動の支援、と大きく3つの方向性で活動を、領域HRBPの皆様と行っていく予定です。
「答えまでの距離が遠い」不確実性の高い環境に適応できる組織づくりに向けて、探索を続けていきます。

ORIGINALITY

文科省認定の研究機関として、独自の理論構築と実践的検証を繰り返すことで生まれた「Creative Cultivation Model(CCM)モデル

CCMに基づいて、あらゆる企業の人と組織の学習能力を最大化することで、急速に変化する不確実な時代に強い組織づくりと経営ビジョンの実現をファシリテートします。

※CCMについて
安斎勇樹(株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO / 東京大学大学院 情報学環 特任助教)によるウェビナーより:https://mimiguri.co.jp/ayatori/webinar-ccm/

社内共同体を作る学習体験のデザインと人材開発プログラム

人と組織に対する深い洞察と専門知を有する経営コンサルティングファームとして、HRBP研修や対話文化を醸成する為の社内ファシリテーター育成だけでなく、学習体験の設計など、さまざまな研修プログラムをご提案いたします。

  • Project Owner

    塙 達晴

  • Project Management Officer

    乗松 裕介

  • HRBP支援 Project Owner&Manager

    湯川 卓海

  • HRBP支援 Researcher&Facilitator

    東南 裕美

  • HRBP支援 Facilitator

    矢口 泰介

  • 対話支援 Project Owner&Facilitator

    笠松 拓也

  • 対話支援 Researcher&Dialogue Designer&Facilitator

    押田 一平

  • 対話支援 Dialogue Designer&Facilitator

    夏川 真里奈

  • HRBP支援 Designer&対話支援 Facilitator

    後藤 円香

  • 対話支援 Dialogue Program Advisor

    臼井 隆志